【清水 芽々】96歳の祖父、78歳の母と同居の61歳女性…「老老老介護」の3世帯家庭で救急車2台出動の大騒動、近隣住民から浴びせられた心無い言葉

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2025年に団塊の世代全員が後期高齢者となり、未曾有の高齢化社会となった日本。国民生活基礎調査によれば、在宅で介護をする世帯のうち、介護する側・される側の年齢が共に75歳以上という世帯が37%に達し、老老介護問題が深刻化している。

栃木県郊外に、78歳の母親・繁子さん(仮名)を介護している大谷木直美さん(仮名・61歳)という女性がいる。双方が「65歳以上」と定義される老老介護には該当しないように思えるが、大谷木家には96歳の祖父・正さん(仮名)も同居しており、それぞれが持病を抱えているため、サポートが必要な三世代が同居するという「老老老介護」状態になっている。

前編記事『【老老老介護の過酷現実】70代の母、90代の祖父と同居する60代の女性…認知症の祖父が夜中に部屋で小便、驚いた母がぎっくり腰の「地獄絵図」』より続く。

集まった近隣住民からの心無い声

酷暑の夜にエアコンが切れており、真っ赤な顔で身体を痙攣させている繁子さんと正さんを発見した直美さん。急いで119通報すると、救急車2台が駆け付けた。

大谷木家は田んぼや畑に囲まれた静かな場所にある。近隣に住宅は少ないものの、その日は地域で祭りがあったため人出が多く、けたたましいサイレンと共に救急車が2台も到着した大谷木家の周りには人だかりができていた。

家の前で救急車に乗り込んだ直美さんは、野次馬たちの心無い会話を耳にした。

「こんな夜に人騒がせよねえ」

「これだから年寄りだけのとこは怖いんだよ」

「ここんちに若い人はいねえのけ?」

「じーさんとばーさんふたりの三人暮らしなんさ」

「はー、参ったねえ」

といった具合だ。

「皆さんが困ったような怒ったような顔をしていたのも相まって、心が折れそうになりました。我が家が高齢者ばかりで暮らしているのは事実ですが、まだ60歳になったばかりの私が、90代の祖父や80歳に手が届きそうな母と同じように扱われたことも屈辱でしたね」(直美さん。以下「」内は同)

傷つけられた祖父の「誇り」

大谷木家の周囲は高齢者が多く、大谷木家同様に三世代や四世代が暮らしている世帯も珍しくない。だが、どの家庭にも20代や30代の若い世代がいた。

「そういう人たちから見たら、うちは危なっかしくてしょうがないんでしょうね。防災訓練や避難訓練に参加すると、『アンタんとこが一番厄介なんだからな』とよく言われましたし、道ですれ違うと、挨拶代わりみたいに『火の元に気をつけてな』と声をかけられるんです」

プライドが高く、「これまで生きて来て、誰にも迷惑をかけたことがない」と自負する正さんは、民生委員にヘルパーを紹介されても「他人の世話にはならん」と追い返すような人物だ。それだけに、近隣住民に心配されることを何よりも嫌っていた。

「そんな祖父にとって、要注意世帯みたいに言われるのは不本意だと思うんです。祖父はアパートの店子さんが家賃を滞らせても文句は言いませんし、畑も格安で貸していますし、空いている土地は近隣の方が自由に使える駐車場として提供しています。年齢的な衰えはありますけど、貧困世帯ではないことが祖父の誇りでもあるんです」

近い将来、収入は途絶える

実際大谷木家はお金に困っていないが、それも「現在」の話。

「土地もアパートも祖父の名義なので、祖父が他界したら母が相続することになりますが、どう考えても相続税は払えそうにないので手離すことになると思います。ヘタしたら、自宅も残せないかもしれません。いずれにせよ、収入が途絶えるのは間違いなく、そうなったら万事休すです」

そう遠くない将来に思いを馳せて頭を抱える直美さん。老老介護はすでに社会問題となっているが、老老老介護となる世帯も今後増えていきそうだ。

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