2022年12月、核融合研究での画期的な成果を発表する記者会見を控えた米エネルギー省本部/Chip Somodevilla/Getty Images via CNN Newsource

CNN)ロシアのハッカー集団がこの1年にわたり、サイバー諜報(ちょうほう)活動の一環として、原子力科学者、防衛関連企業、政府職員を標的にしていたことが、民間の研究者らによる調査と23日に公開された情報機関の警告によって明らかになった。

標的の選定からは核融合技術の他、ウクライナとの戦争に寄与し得る情報に対するクレムリン(ロシア大統領府)の関心がうかがえる。

この活動の一部を調査した米国のメールセキュリティー企業プルーフポイントは、ハッカーらが米国内の「原子力関連施設および防衛産業基盤」で使用されているメールサーバーを狙っていたと発表した。プルーフポイントの研究者グレッグ・レスネウィッチ氏はCNNに対し、ハッカーらは「核融合に関心を持つ組織や利用者」を標的にしていたと述べた。その目的はおそらく、「この分野でロシアの競合国がどのような進展を遂げているかを把握するため」だったという。

米国および10カ国以上の同盟国の情報・安全保障機関が共同で発表した勧告では、「現在も継続中」のロシアによる諜報活動について警告している。この活動では、北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対して使用する前に、ウクライナでハッキング手法の試験が行われたという。新たな被害者が現れた場合、今回の勧告に基づく被害評価を行うことで、ロシアの工作員がどのような情報の収集に成功したのかが明らかになる可能性がある。

今回ハッカーらが使用した希少なソフトウェアは、脆弱(ぜいじゃく)なメールシステムを持つ標的に対してメールを開くだけで被害をもたらすことができる。標的側はいかなるリンクもクリックする必要がない。この脆弱性により、被害者の過去3カ月分のメール通信に加え、組織全体のメールディレクトリも盗み出すことが可能だと、連邦当局の勧告は述べている。

複数の核エネルギー研究所を管轄する米エネルギー省は、プルーフポイントの調査結果に関するコメント要請に応じなかった。連邦捜査局(FBI)と国家安全保障局(NSA)は、連邦当局の勧告について取材に応じられる担当者は現時点ではいないと述べた。

首都ワシントンのロシア大使館もコメント要請に応じなかった。

米国とその同盟国によると、連邦政府および地方政府、法執行機関、防衛、教育、エネルギー分野が今回のサイバー活動の標的となったが、詳細は明らかにされなかった。

「この攻撃者は西側の軍事情報や兵站(へいたん)、政策決定に関する戦略的な洞察を得ようとしていた可能性が高い」と、サイバーセキュリティー企業パロアルトネットワークスのユニット42部門で脅威インテリジェンス担当副社長を務めるシェロッド・デグリッポ氏は述べた。同部門もまた、今回の活動を追跡している。