若者の服に「前世は雑巾」、政治家には…美輪明宏さんが生前の取材で語った“キレキレの格言”を振り返る
事務所のサイトには「最後は『ありがとう』と一言感謝の言葉を伝え、静かに目を閉じました」と書かれていました。
まだずっと活躍されて、世の中に喝を入れていただきたい存在でしたが、なんと理想的で美しい最期だと感動を覚えました。祈る必要がないくらい、天国に直行されたと思いますが、謹んでご冥福をお祈りします。
◆美輪様の“キレキレの格言”を発掘
実は私は、ありがたいことに美輪様のビブラートボイスを何回か直接浴びたことがあります。舞台に伺ったことも何度かありましたが、直接お話しできる貴重な機会も数回ありました。
2010年、2013年、2017年と、ちょっと前の話になりますが、雑誌で取材させていただいたときの美輪様の名言について、今一度発掘してご紹介いたします。
2010年、宝島社のメンズ誌「smart」(2010年7月号)で取材させていただいたとき、読者層が18歳から25歳くらいの男性だと伝えると、美輪様は「一番いい時代よ。だって、少年期から青年期に移る本当に人生でいったら夕映えみたいに短い期間でしょ」と詩的に表現されました。
「世間の手垢がついてないから、純粋で男らしい」年頃だそうですが、「これが社会に出てちょっと経つと、○○○(政治家の名前)や自民党のおっちゃん達みたいに旧家の便所みたいな顔になっちゃう」と嘆いていました。
嫉妬まみれの競争社会で揉まれることで、少年らしさが失われていってしまうそうです。それにしてもこの比喩表現、美輪様にしか言えないキレキレのセンスを感じます。
今からするとかなり攻めていますが、男社会の厳しさについて「“色男、金と力はなかりけり”」という昔のことわざを引用。美輪様いわく「ファッションモデルみたいに色男で、背が高くて、マスクがよくて、女にモテそうなのは、まず男社会では協力を得られない」とのこと。
完璧なルックスの男性は同性に疎まれるので、次第に出世コースからも外されてしまうそうです。ルッキズムの裏の厳しい現実が……。「寅さん」や「座頭市」といった映画は同性にも人気だけれど「色男のシリーズもの映画ってないのよ」と、意外なところを突いていたのも印象的でした。
◆男女の長所・弱点を熟知した愛のある助言も
ちなみに美輪様は絶世の美男子でしたが、どのように切り抜けてこられたのか伺うと「私は、背が低いもの。160.5cmしかないから」と冷静に分析。ウエストが細すぎて三島由紀夫に気持ち悪がられたこともあったとか。
「大体男の人は、疑似女性として私のことを見てたのよ」とのことで、昔からラブレターをもらったり優しくしてもらったりモテていたそうです。美輪様ならではの処世術です。
また、若者の恋愛についても指南してくださいました。男性が好きな女性を射止めたいときは、優しくすること。でも頼りない優しさではなく、適度に筋肉をつけたほうがいいそうです。いっぽう、女性は男性を褒めたほうがいいとのことでした。
「男は褒められると嬉しくてもっと頑張ろうって思うから。男自身がコンプレックスの塊だから。女には劣等感はないの。あるふりはするけど。女には“でも”と“しかし”があるのよ。『私はこういう所がダメ、でも私にはこういうところがあるのよ』ってね」

