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 元阪神の原口文仁氏(34=本紙評論家)が30日、大阪市内で引退後初の自著「道なき道を 大腸がんという宿命を使命に変えて」(26日発売、集英社)の出版記念イベントに登場し、トークショー、サイン会を開催。「多くの方々に手に取って読んでいただき、何か少しでも人生の役に経てばという思いで書かせていただきました」と語った。トークショーでは現役時代に大腸がんから復活した話や、今回の著書を出すキッカケなど対談形式で披露。30人のファンが真剣な眼差しで耳を傾けていた。

 イベント前の取材会では発病から7年を経過して完治していることを報告。「今は体の方も問題なく、日々健康に自分の好きなことや野球のお仕事をさせていただき、充実した日々を過ごせてます」と笑みを浮かべた。

 また、病気してからの切実な思いを吐露。「一番苦しかったことは野球一筋でやってきた自分が、病気になって野球を奪われるんじゃないかという恐怖。それ以上に、生きていられるのかという不安や恐怖を味わったことが、これまでの人生において自分の価値観を大きく変えた出来事だった」と明かした。

 一方で一番嬉しかったこととして「何気ない毎日を家族や周りの友人と普通に生活できることがこれほど幸せなことかと身をもって体感した。大病をして、野球ができないところからまた一軍の舞台で野球ができる幸せや嬉しさを経験できた」とひと言ひと言噛みしめながら語った。

 執筆秘話も披露。今年2月に大阪マラソンで42・195キロにチャレンジ。5時間25分12秒で見事に完走を果たしたが「マラソンよりきつかった」と苦笑いだ。

 発信力ある元プロ野球選手として「多くの人に早期発見、早期治療の大切さを伝えたい、投げかけたいという思いで書かせていただきました」とPR。6月1日には小児がんと闘う子どもたち、その家族を支援する基金「グッチオブハート」を設立。自身の講演活動から一部を寄付し、さらに一般からの寄付も募るなど、社会貢献活動をこれからも続けていく構えだ。

 原口氏は埼玉県出身。帝京高3年夏に捕手として甲子園出場し8強。09年のドラフト6位で阪神に入団した。6年間は腰痛、骨折などで育成選手契約にもなったが、16年に金本知憲監督に見出されて支配下選手登録。一軍デビューした。その年は11本塁打を放つなど攻守に期待されたが、18年の年末に人間ドックで大腸がんが判明。19年の春季キャンプ直前に公表した。手術、リハビリ後、同年5月に実戦復帰。その後は内外野も守り、25年に現役引退。今年から本紙評論家となった。