記事のポイント

FTCはAIを含む虚偽レビュー作成を禁止し、新しい罰則を導入した。

Googleなどは規則を支持する一方、専門家はソーシャルメディア規制の不足を指摘している。

ディーン氏は、レビュー削除情報の公開や消費者への透明性強化の必要性を訴えている。


FTC(Federal Trade Commission、連邦取引委員会)は10月、紛らわしいマーケティングや不正な推薦文を取り締まる一環として、人間とAIモデルの両方による虚偽レビューに関する新しい規則を施行する。

この規則は、AI関係の企業を取り締まるFTCのより広範な活動の一部だ。9月下旬にFTCは、これとは別に企業による紛らわしいマーケティングや、AI製品およびサービスについてのクレームへの広範な取り締まりの一部として、5つの企業に対して法的措置を発表した

「AIツールを使用して人々を騙す、誤解させる、詐取するのは違法だ」と、FTCの議長を務めるリナ・カーン氏は声明で述べている。「FTCの強制措置は、現行の法律からAIも除外されないことを明確にするものだ。FTCはこれらの市場における不正または詐欺的な行為を取り締まることで、確実に正当なビジネスやイノベーターが妥当な利益を得られ、消費者が保護されるようにしている」。

FTCの虚偽レビューに関する新しい規制の更新は先月承認され、10月24日に発効する。この規則は、消費者を保護する法律を明確化、強化、施行するとともに新しい罰則を追加することを目的に、既存の虚偽レビューの禁止令を更新したものだ。この変更では、セレブリティ、従業員、一般人、虚偽の身元による虚偽のレビューに対処するとともに、生成AIツールを使用して作成された虚偽レビューにも対処している。これらは消費者、ビジネス、オンライン情報のすべてにとってリスクになるものだ。

この規則では、企業のウェブサイト、独立レビューサイト、ソーシャルメディアプラットフォーム、広告コンテンツ、そのほかの種類のマーケティング資料を規制している。ここでは、変更において何が対象となり、何が対象ではないか、そして数週間後の法の施行前に知っておくべきことについて説明する。

どのような種類のレビューが禁止されるのか



新しい規則では、FTCによって禁止されるいくつかの種類のレビューが概説されている。企業はレビュー作成者の体験を不正確に表すような消費者やセレブリティのレビューを作成、購入、販売してはならない。また、この規則では、肯定的または否定的なレビューを書くためにインセンティブを与えることを禁止し、エグゼクティブや従業員が適切な情報の開示なしにレビューを書くことや、親族にレビューを依頼することも制限している。

また企業は自社のWebサイトのレビューセクションが独立のものだとの誤解を招く形で表示してはならず、レビュー作成者への脅しも禁じられ、フォロワー数や再生回数の形で虚偽の影響力を商業的に売買することも違反だ。

規則の最終版には、「AIツールにより、虚偽のレビューが迅速かつ安価で大量に作成され、複数のプラットフォームにわたって広範にばらまき、レビューのエコシステムを汚染することが簡単に行えるようになった」という脚注がある。「AI生成レビューは最終版の規則でカバーされており、これによって不正な目的でAIを使用することが阻止されると委員会は期待している」。

FTCによる新しい規則の更新について、既存のルールを明確化し、一貫性を持たせる助けになると、BBBナショナルプログラム(BBB National Programs)のポリシー担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるメアリー・エングル氏は語る。

同氏はFTCの広告実践部門の元メンバーでもあり、委員会は「常に違法な方法と、違法とは限らないが線引きが難しい方法」を区別しようとしていると指摘してる。今回の規則は、明らかに違法または詐欺的な行為に対応している。

AI生成コンテンツについては、大規模言語モデルにより、どれが全世界で組織化された虚偽レビューのネットワークの一部なのかどうかを識別することが難しくなっている。しかし、レビューや広告、そのほかの種類のレビューや推薦についても、適切な情報公開が鍵になる。

評判がいい企業は自社ブランドを守るために虚偽のレビューを避けると考える人もいるだろうが、必ずしもそうではない。しかし、罰金がより高額になり、評判が傷つくリスクも高まることで、企業やレビュー作成者が正しい行動をとるようになる可能性があるとエングル氏は考えている。「インターネットのよい点のひとつは、不正に関する真実が明らかになると、大きな反動を引き起こす可能性があることだ」と、同氏は述べている。

「これらの規則が重要なのは、誰もがレビューに頼っているからだ。レビューは有益で、本物である必要がある。しかし、誰もがレビューに頼っているため、さまざまな方法で虚偽のレビューを作成したり、内容を誇張したりする動機が強くなる。FTCはこのような動機を弱めることで発生を減らそうとしているのだと思う」と、エングル氏は述べている。

推奨、施行、AIのリスク



Googleやイェルプ(Yelp)などの企業も変更を是認したが、一部の専門家はこれらの更新が正しい方向への一歩ではあるものの、十分ではないと考えている。これらの規則は、ソーシャルメディアや大手eコマース企業を規制するのではなく、企業が虚偽のレビューを作成することを防止するだけだ。米国の法の外にある虚偽レビュー業界が存在することも、規制を難しくしている。

「マーケットプレイスはすでに多くのオンラインの虚偽レビュー作成者で溢れている」と、元犯罪捜査官で、現在はウォッチドッグウェブサイトのフェイクレビューウォッチ(Fake Review Watch)の創設者であるカイ・ディーン氏は語る。

「AIの出現により、この問題はますます悪化するだろうと私は予想している。AI生成レビューを試してみたことがあるが、AIはコンテンツをごく簡単かつ迅速に出力した。これは驚くにあたらない。しかし、特定のレビューが実際の人間によって作成されたのか、AIで生成されたのかを指摘することは簡単ではない」。

FTCは、政府がソーシャルメディアを規制しない理由についてはセクション230の問題を回避するため、サードパーティのプラットフォームを規制しないことを選んだのかもしれないと話している人たちもいる。

しかし、それでもFTCは別の方向性を選ぶことができたとディーン氏は述べる。たとえば、プラットフォームが特定の企業のページからどれだけの偽造または紛らわしいレビューを即除したのかをユーザーに公開することや、すべてのレビュー作成者をより徹底的に特定する、削除されたものも含めてすべてのレビューにユーザーがアクセスできるようにするなどを義務づけることはできたと同氏は述べている。

「これらや、ほかにも私がFTCに提示した具体的な助言を実行すれば、実際に何が起きているのかについて消費者にもっと透明性を提供することができるだろう。自分が5万ドル(約720万円)でキッチンのリフォームを頼もうと思っている業者に対する虚偽レビューをGoogleやイェルプが数十個も削除したなら、そのことを知りたいと思うのが普通だろう」と、ディーン氏は述べている。

コンシューマーレポート(Consumer Reports)でポリシーアナリストを務めるマット・シュワルツ氏は、自分のウォッチドッググループは全体として新しい規則を支持していると述べる。最終版の規則では、Amazonのレビューのハイジャックなどの問題について最初に一部の提案が削除されているものの、透明性が高まり、罰金の増額により企業が悪意の関係者になることが阻止されるかもしれないと同氏は考えている。

「最も重要なのは、この規則がどれだけ効果的に執行されるかだ」とシュワルツ氏は述べている。

[原文:AI Briefing: FTC cracks down on deceptive marketing tactics, fake reviews]

Marty Swant(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:坂本凪沙)