いわゆる「袴田事件」の再審=裁判のやり直しで無罪判決が言い渡された袴田巖さんが9月29日の判決後、初めて公の場で発言しました。袴田さんは「無罪勝利が完全に実りました」とハッキリとした言葉で語りました。

【写真を見る】「絶対巖さんに何か通じているんだと」公の場で"無罪勝利"と話した袴田巖さんに弁護士も喜び 控訴期限前に姉ひで子さんの心境は=袴田事件・再審無罪判決

9月29日、静岡市で行われた報告会に出席した袴田巖さん、88歳。無罪判決後、初めて口を開きました。

<袴田巖さん(88)>

「私が、袴田巖でございます。待ちきれない言葉でありました。無罪勝利が完全に実りました。きょうはめでたく、みなさんの前に出てきたということで。無罪勝利ということに、検察も認めたということで、これからの闘いにおいては、政治的に社会的地位を守っていく、これが根本的なものでございます」

「無罪」と発言をした袴田さん。

会見に同席し、袴田さんの無罪を訴え続けた小川秀世弁護士には、袴田巖さんの言葉を聞いてこみあげてきたものがありました。

<袴田事件弁護団 小川秀世弁護士>

「ひで子さんの先ほどのビデオにも出てきましたけど、ひで子さんが今回無罪になったということを伝えたら、それに対しては、何もそういう拒否的なこと、否定的なことは言わなかったじゃないですか。これは、僕は絶対巖さんに何か通じてるんだと、なにかそれが伝わってるんだということを思って、そのことをお伝えしようと思っていたら、本当に伝わってたじゃないですか。すごいうれしい」

静岡地裁での無罪判決後、活発になっているのが控訴断念を訴える動きです。9月30日、支援者が街頭活動でチラシを配り、現在5万人の署名が集まっているインターネットでの署名を呼び掛けました。

9月30日、袴田巖さんは都内で行われた会見に姉のひで子さん(91)と出席する予定でしたが、体調不良で欠席。会見に出席した小川弁護士は検察の控訴の可能性についての質問には…

<袴田事件弁護団 小川秀世弁護士>

「検察が本当にこの長い審理を終えることができると。検察しかできないことなんだとこの審理を終わらせることは。そういうことを本当に検察に自覚してもらうことが、検察の控訴をやめていただくことの大きな力になると思っています」

ひで子さんは無罪が確定していない心境を尋ねられると…

<袴田巖さんの姉 ひで子さん(91)>

「毎日ご飯を食べたあとに、説明というのはおかしいが、無罪になったよ、無罪になったよと言い続けるつもりでいます」

控訴の期限は10月10日。検察の判断に注目が集まります。