中国、来年から15年かけ定年引き上げへ 年金財政逼迫を緩和

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Farah Master

[香港 13日 ロイター] - 中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会は、法定退職年齢の引き上げに向けた草案を承認した。新華社通信が13日伝えた。

中国政府は7月、多くの省における年金財政の逼迫を緩和するため、退職年齢を段階的に引き上げる方針を示していた。

現在、法定退職年齢は、男性が60歳、女性はホワイトカラーが55歳、工場労働者は50歳と、世界的に見てかなり低い。[nL6N3KT06F]

定年引き上げは来年1月1日から段階的に開始され、最終的に男性の定年は63歳に、ホワイトカラーの女性は58歳に、工場労働者の女性は55歳に、それぞれ引き上げられる。

王暁萍・人力資源社会保障相は13日、定年は15年かけて引き上げると発言。労働者が早期退職や最長3年の定年延長を選択できるなど、柔軟かつ任意に定年を引き上げていくという。

中国の平均寿命は1960年の約44歳から2021年には78歳に延び、50年には80歳を超えると予測されており、改革が急がれる。同時に、高齢者を支えるために必要な労働人口は減少している。

定年引き上げで人々がより長く働くようになれば、年金財政の逼迫緩和につながるが、年金の支給を遅らせたり、年配者に長く働くよう求めることは、全ての労働者に歓迎されるとは限らない。少ない求人に対し求職者が増加するのを懸念する声も上がる。

ANZの中国担当シニアストラテジスト、Xing Zhaopeng氏は、今回の改革について、短期的な経済への影響はないだろうが、長期的には早期の労働力不足を回避し、安定した生産性の伸びを維持するのに役立つと指摘した。

中国では、60歳以上の人口が35年までに4億人以上に増加し、英国と米国を合わせた人口に匹敵すると当局は予想している。

中国財政省のデータによると、31の省レベルの管轄区のうち11の省レベルの管轄区で年金財政が赤字。中国科学院は、さらなる改革がなければ35年までに年金制度は資金不足に陥ると指摘する。