米ボーイング、16年ぶりスト実施へ 労働協約を組合員が否決

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Joe Brock David Shepardson

[シアトル 12日 ロイター] - 米航空機大手ボーイングの労働組合は12日、組合執行部と会社が暫定合意した労働協約を否決した。13日からストライキを実施する。スト実施は2008年以来16年ぶり。

ワシントン州シアトル近郊とオレゴン州ポートランドの工場従業員約3万人による投票で、94.6%が労働協約の拒否に賛成、96%がストに賛同した。

ストは米太平洋時間13日午前0時(0700GMT)に開始される。

ボーイングは8日、25%の賃上げなどを柱とする新たな労働協約で組合側と合意したと発表。組合執行部は組合員に協約への支持を呼びかけたが、賃上げ率などに不満の声が上がっていた。

米北西部の工場従業員が加盟するボーイングの最大労組、国際機械工労組(IAM)の交渉責任者、ジョン・ホールデン氏は記者団に対し、ストがいつまで続くのか、いつ交渉が再開されるのかには触れず、「できるだけ早く交渉のテーブルに戻るつもりだ」と語った。

ボーイングは12日、会社と組合執行部の合意に組合員がノーを突き付けたとし、「従業員や組合との関係再構築に引き続き全力を尽くす。新たな合意に向け再び協議する用意がある」と表明した。

協約には、25%の賃上げ、雇用契約締結時の3000ドルの賞与、次期商用機の製造を4年内に開始する場合にシアトル地域で行うという誓約が含まれているが、ホールデン氏によると、労働者側は今後3─4年について労組が当初提示した40%に近い賃上げを求めており、年次賞与がなくなることに対する不満も一部である。

ストの期間は不明だが、長期のストはボーイングの財務だけでなく、同社のジェット機に依存している航空会社や、航空機部品などを製造するサプライヤーにも影響が広がることが予想される。TDカウエンは、ストが50日続いた場合、ボーイングのキャッシュフローで30億─35億ドルの影響が出ると試算した。08年のストライキでは、工場が52日間閉鎖され、1日あたり推定1億ドルの収益が失われた。

S&Pグローバル・レーティングは、ストの長期化はボーイングの業績回復を遅らせ、総合的な格付けに悪影響を及ぼす可能性があると指摘。S&Pとムーディーズはボーイングをジャンク級の1ノッチ上に格付けしている。