加藤ありさ被告と被害男性の2人

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 “元女子大生頂き女子”加藤ありさ被告(22)の初公判が、7月11日、名古屋地方裁判所で開かれた。傍聴席では今回の被害者と同様、マッチングアプリを通して加藤被告と知り合い金をだまし取られた男性2人が最前列に座って裁判を見守った。閉廷後、2人に対談してもらった。(前後編の後編)

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【写真27枚】あまりに違う加藤被告の「実物写真」と「プロフィール写真」。新たに出てきた「師匠」のXアカウントと「攻略マニュアル」も

初対面で意気投合したAさんとBさん

Aさん 40代前半。東海地方在住。年収550万円、預貯金500万円。彼女いない歴3年。マッチングアプリPで加藤被告と知り合い、2023年6月9日に初デート。被害金額は73万円。

Bさん 30代後半。東海地方在住。年収500万円、預貯金200万円。彼女いない歴10年。マッチングアプリPで加藤被告と知り合い、23年7月26日に初デート。被害金額は15万円。

加藤ありさ被告と被害男性の2人

〈2人が対談するのは2回目。1回目は5月28日に配信した【名古屋「22歳頂き女子」にだまされたおじさん2人が特別対談「僕らがバカだった。若い女子がおじさんとの“餃子の王将デート”を喜ぶはずがない」】を参照。

 最初はウェブ対談だったので、顔を合わせたのは初めてだった。2人はSNSで連絡を取り合い、開廷の1時間前から法廷前で一緒に並んで最前列で傍聴。記者が合流したのは閉廷後だったが、すでに意気投合していた〉

記者 2人の被害は証拠に乏しく警察には取り合ってもらえなかったので、今回の裁判は直接関係ありません。どうして傍聴したいと思ったのですか?

Aさん やっぱり加藤の顔を拝んでやりたいという気持ちがありました。何が本当で何が嘘だったのか知りたいという気持ちで半休を取ってやってきました。

Bさん 僕も同じです。真実を知りたかった。僕は1日有給を取りました。記者さんから小さい法廷で傍聴席がすぐに埋まるかもしれないと事前に聞いていたので、1時間前に来ましたが僕らが2番目でしたね。

Aさん 多分ですが、僕らと同じような被害男性がもう一人傍聴していた気がします。1人で来て食い入るように法廷を見ていましたから。

正直、ざまあ見ろという気持ちが湧いた

記者 変わり果てた加藤被告を見てどう思いましたか?

Aさん 太っていてびっくりした。ですよね?

Bさん はい、ストレスなんですかね。マスクをつけていましたが、アゴ周りがボテッとしているのはハッキリわかりました。表情は生気がない感じで…。声もいつもはキャピキャピ甲高いのが特徴だったんですが沈んでいました。

Aさん 抜け殻みたいでしたね。正直、ざまあ見ろという気持ちが湧いた。お金の問題ではないんです。僕も彼女を守ってあげたいと本気で思って、借金してまで73万円を用意した。プライドを傷つけられた恨みは消えることがありません。

Bさん 僕もあの頃はガチ恋してしまいましたからね。手錠につながれて法廷に入ってきた彼女を見ていて、自業自得だと思った。

記者 裁判ではいくつか新事実も明らかになりました。どんなことが気になりましたか?

Aさん ホストに貢いでいたという話は想定内。やっぱりなと。一番気になったのは、お母さんにブランド物の財布をあげていたという話。僕たちからだまし取った金で親孝行かよと。

Bさん お母さんはどう思っているんでしょうね。せっかく大学まで入れて卒業させたのに、テレビにも出るような詐欺事件を起こしてしまった娘を。

僕らを踏み台にして腕をあげたのではないか

記者 Mちゃんやネオちゃんという頂き女子からマニュアルを購入していたことも明らかになった。

Aさん 僕は彼女とトラブルになっていた頃、りりちゃんがニュースになっていたから本人に〈確認だけどありさちゃんは、頂き女子のマニュアルを買った?〉ってLINEで問いただしているんです。彼女は、〈なんじゃそれは〉〈調べてきたけどさ、一緒にしないでもらっていいかな〉ととぼけていましたが、結局、似たようなヤツからマニュアルを買っていたわけですよ。

Bさん 早速、スマホで調べてMちゃんのマニュアルを見ましたが、りりちゃんの販売していたのをパクったような内容でしたね。

Aさん あと気づいたことがあって、彼女の購入したマニュアルの中に「最初にお金の話をしないと書かれてあった」と検察官が読み上げていましたよね。僕には会った初日から「200万円くらい借金があります」っていきなり仕掛けてきたんですよ。全然マニュアル通りじゃないだろって。

Bさん 僕がだまされたのはAさんの後。そして今回事件になった60代の被害者はその3カ月くらい後。2つのマニュアルを買って1つでは個別指導まで受けていたというのでしょう。僕らを踏み台にしてどんどん腕をあげていった可能性がある。

判決まで見届けるつもり

Aさん 実際、僕らの時は本名でやっていましましたが、その後、偽名を使うようになっていったわけですからね。学習したのでしょう。

Bさん そこら辺はこれからの公判で明らかになるかもしれませんね。

記者 お二人はこれからも公判を傍聴するつもりで…。

Aさん はい。仕事が許す限り、通いたいと思っています。僕らは警察に取り合ってもらえませんでしたが同じ被害者です。金額が小さいとはいえ、収入がそこまで高くない僕らにとっては大金です。実刑判決を強く望みます。

Bさん 惨めな思いをしてきた思いをしてきたのは僕らだけじゃありません。きっと他にも何人もいるはずです。被害者を代表する気持ちで結末を見届けたいと思っています。

前編【初公判 名古屋「元女子大生頂き女子」には「2人の師匠」がいた 2万円と9万円でマニュアルを購入 りりちゃんとは孫弟子の関係か】では、記者が傍聴した初公判の模様を詳報している。

デイリー新潮編集部