この記事をまとめると

■中国のインモーション社が手がける電動コミューターがとんでもなかった

■インモーションRSという電動キックボードは時速110km/hでの走行が可能

■ハイパワーモーターを搭載した一輪車の最高速度は140km/hに達する

スポーツバイクにも劣らない加速の電動キックボード

 どんな乗り物でも、進化しているニュースはクルマ好きの皆さんなら大歓迎ではないでしょうか。最近は0-100km/h加速が1秒台になったとか、太陽光だけでアフリカを横断したなど、EV関連のビックリドッキリニュースが少なくありませんが、ついに時速100km/hをゆうに超える電動キックボード、そして140km/hの最高速をマークする電動1輪車と聞けば、それはもう鼻息が荒くなること間違いないでしょう。どうやら、中国はその手のブームが席捲しているらしく、とんでもないコミューターが登場したものです。

 INMOTION(インモーション)社は中国の深圳に本拠を置く電動コミューターメーカー。2012年の創業以来、電動キックボードと同じく一輪車の開発と販売に従事してきたようです。いずれの乗り物も中国はもちろん、欧米各国に輸出しており、トップメーカーの一角を担う勢い。

 当然、前述のような尖った性能をもったモデルだけでなく、通勤や一般的なレジャー向けモデルも生産していて、独自の電子制御テクノロジーや連携するスマホアプリの充実など堅実な一面も備えています。

 とはいえ、中国ではやっぱりインパクトある商品が売れるわけで、インモーションのトップレンジには究極とも呼べるコミューターがゾロゾロと並んでいます。

 たとえば、インモーションRSとなかなかのネーミングがされた電動キックボード。なにがすごいって、2000Wのハイパワーモーターを前後輪に装備して、ピーク出力8400W、2880Wh(72V 40AH)のバッテリー容量を持たせた結果、最高速:110km/h、0-30mph(約48.6km/h)加速:3.5秒というパフォーマンス。

 まあまあ速いとされるホンダCBR250RRの0-100km/h加速が5.97秒とか6秒程度ですから、体感的には250のバイク並みか、むしろ車重の軽さも手伝ってよりスピード感は強烈に感じることでしょう。

 むろん、ハイパワーなだけなら恐怖しか感じられない乗り物に終わってしまいますが、インモーションは足まわりにも手抜かりなし。前後ともトラベル量96mmにおよぶ油圧ダンパーに加え、11×3.5インチのチューブレスタイヤ(!)、そして前後とも160mm径のディスクを備えた油圧ブレーキと、キックボードと呼ぶには豪華すぎる装備!

 おまけに、ブレーキにはエネルギー回生システムが導入されるなど、なかなか賢い仕上がりとなっています。

 さらに、インモーション躍進の秘訣はバッテリー制御システムで、2880Whから120〜160kmという航続距離をひねくり出しただけでなく、電力供給や安全性に二重三重のセーフティを施しているのです。

 主要部分のケーブルはAWS8(およそ8sqrと、このクラスとしては極太)だったり、電源管理のmosfetはなんと42個も搭載するなど、重電メーカー並みの設計、完成度と呼んで差し支えありません。むろん、電源部分の防水性能はIPX6をクリアしており、雨の日の走行や水たまりを走ったくらいでは破綻しそうにありません。

140km/h出る立ち乗り電動一輪車

 一方の電動一輪車は、なじみの薄い乗り物かもしれませんが、スケボーやモトクロスといったエクストリーム界隈ではすでに大流行しています。従来の一輪車からサドルとペダルを省き、車軸付近に左右の足をのせるフットペグを加えたもの。

 乗り方は一輪のセグウェイとでもいえばいいでしょうか。左右の荷重移動でステア、身体を前に倒せば前進するといった具合。前述のとおり、スケボーやBMXが走れるコース、パンプトラックなどでジャンプをはじめとしたトリッキーな乗り方も楽しめます。

 ここにインモーションはキックボード同様にハイパワーモーター、大出力に応じた制御システムを搭載し、なんと最高速140km/hという化け物じみたマシンを発売したのです。126Vのハイパワーモーターに、ピーク時で1万Wをかけ、最大トルクは300Nmといいますから、クルマでいえば2リッターターボ車と同等かと。

 しかも、キックボード同様に車重は軽量で、わずか64kg。体重80kgの方が乗ってもようやく150kg程度ですから、加速を含めた動力性能の印象はそれこそ目が置いていかれるような凄まじさかと。

 ちょっと面白いのは、年齢の要請がなされていることで、リクワイアメントによれば16〜50歳とのこと。ひとえに運動神経や動体視力が必須であることがうかがえます。

 それにしても、140km/hまでは出さずとも、急停車する場面を想像するとスリリングというより恐怖に近いかもしれません。年齢制限も致し方ないところなのではないでしょうか。

 いずれにしろ、このジャンルも日進月歩、長足の進化を遂げていますので、各種のレースや、ことによったらオリンピック種目になる日だってくるかもしれません。

 新しもの好きは、いまから鍛錬しておくのもいいアイディアでしょう!