iPhone 14にPlusモデル復活! 大画面&長時間駆動といいとこ取りでユーザーニーズを掴めるか

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●iPhoneシリーズに「Plus」モデルが復活!
9月7日(現地時間)、Appleは新型スマートフォン「iPhone 14」シリーズ、全4モデルを発表しました。

各モデルの公式オンラインストアでの価格や、日本での発売日は以下の通りです。

・iPhone 14:119,800円から(9月16日発売)
・iPhone 14 Plus:134,800円から(10月7日発売)
・iPhone 14 Pro:149,800円から(9月16日発売)
・iPhone 14 Pro Max:164,800円から(9月16日発売)

今回のラインナップで、とくに注目を集めているのが「iPhone 14 Plus」です。
iPhone 14 Plusは6.7インチの大型ディスプレイを搭載したスタンダード(標準)カテゴリーのiPhoneで、
標準モデルに位置付けされる「iPhone 14」とは、画面サイズとバッテリー容量以外の基本スペックがほぼ同じです。

Appleはなぜスタンダードカテゴリーに大画面モデルをラインナップしてきたのでしょうか。
またその戦略はユーザーにどの程度受け入れられるのでしょうか。


iPhoneの大画面路線への転換の理由とは?



●大画面で比較的安価。いいとこ取りのiPhone 14 Plus
iPhoneのスタンダードカテゴリーに大画面の「Plus」シリーズが追加されるのは、
2017年発売の「iPhone 8 Plus」以来、実に5年ぶりとなります。

ここ数年は最上位の「Pro」カテゴリーに大画面の「Pro Max」が用意されるのみでしたが、
今度のiPhone 14シリーズでは、スタンダードカテゴリーとProカテゴリーにそれぞれ大画面モデルが用意されることになります。

実は、この大画面戦略の流れには理由があります。

Appleは「iPhone 12」シリーズと「iPhone 13」シリーズで、より小型で安価な「mini」モデルをラインナップしてきました。
しかしながら、このminiモデルは市場での人気が低く、実際の販売でも不振が続いていました。

Appleは正確な生産台数や販売実績を公表していませんが、
販売店の集計や販売ランキングなどからも、その売れ行きが芳しくなかったことは間違いありません。


Miniモデルは、小さく持ちやすいことがメリットだったが、市場からはあまり歓迎されなかった(画像はiPhone 13 mini


Androidスマートフォンの市場を見ても、6インチ台の大画面スマートフォンが人気です。
とくに6.7インチや6.8インチといったかなり大型のディスプレイのモデルの人気が高く、
多くのユーザーがより大きな大画面モデルを好んでいるという傾向があります。
そこでAppleも小型路線を取りやめ、大画面路線へと舵を切ったものと考えられます。

また、大画面のiPhone 14 Plusの場合、利益・収益面でも有利という企業的な思惑もあります。

小型のminiモデルでは価格を下げざるを得ず、どうしても利益が削られます。
大画面のPlusモデルであればスタンダードモデルよりも価格を上乗せしやすく、収益性を向上しやすくなります。

ユーザーとしても、
・写真や動画を大画面で楽しめる
・Proカテゴリーよりも比較的安価で購入しやすい
・バッテリー容量がスタンダードモデルより大きく長時間使える
・スタンダードモデルより両手での操作がしやすい

このようなメリットが生まれるため、企業としてもユーザーとしてもメリットの多い選択だったと言えます。


公称値で丸1日以上動画再生できるという謳い文句が持つ安心感は大きい



●より大画面で長時間使えるiPhoneが欲しいという方にオススメ!
いくら最新のiPhoneとは言え、
前述のように、画面の大きさとバッテリー容量以外はほぼスタンダードモデルと同じであるため、
これまでiPhone 13 Pro Maxなどを使用していた人は、性能面の低下に要注意です。

これまでの通例であれば、最新のiPhoneには最新のSoCが搭載されてきましたが、
iPhone 14およびiPhone 14 Plusには、iPhone 13 ProおよびiPhone 13 Pro Maxに搭載されていたものと同じチップセット(SoC)「Apple A15 Bionic」が搭載されています。

つまり、iPhone 13 Pro MaxとiPhone 14 Plusを比較した場合、純粋にカメラユニット数が減っただけ、とも取れるのです。

実際には、
・「Photonic Engine」の搭載によって暗所撮影機能が強化
・フロントカメラにオートフォーカスが追加
・交通事故などを検知して自動通報してくれる「衝突事故検出」を搭載

このようなアップデートがありましたが、1年前の最上位モデルから買い替えたくなるほどの差には感じられません。

新規購入以外では、iPhone 12シリーズ以前の機種を持っている方が買い替えの検討を行うための端末という位置付けです。


スタンダードカテゴリーのiPhoneは、どうしてもカメラユニット数で妥協せざるを得ない


・これまで標準やminiモデルのiPhoneを使ってきたがもっと大きな画面が欲しい
・Proカテゴリーのモデルほどのカメラ機能はいらない
・大画面のiPhoneは欲しいが出費はできるだけ抑えたい
・とにかく長時間使えるiPhoneが欲しい

iPhone 14 Plusは、このような方にオススメです。




執筆 秋吉 健