これまで南米で発見されたものの中では最大となる翼竜種の化石が発掘されました。翼長9メートルもあるこの化石は古生物学者の間では「死の竜」と呼ばれる生物のもので、約1億4600万年〜6600万年前の白亜紀末期に生息したとされています。

Thanatosdrakon amaru, gen. et sp. nov., a giant azhdarchid pterosaur from the Upper Cretaceous of Argentina - ScienceDirect

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0195667122000921

Giant ‘dragon of death’ with 30-foot wingspan unearthed in Argentina | Live Science

https://www.livescience.com/death-dragon-pterosaur-in-argentina

化石は2体の翼竜のもので、アルゼンチン北部の都市・メンドーサ市からおよそ800キロメートル離れた場所で行われた土木工事の発掘調査で発見されました。古生物学者のレオナルド・D・オルティス・ダヴィド氏が発掘調査の監督を務めていたところ、堆積物の中から化石の一部が発見されたそうです。



化石の翼竜はそれぞれ翼長が約7メートルと9メートルで、腕の骨や足の骨などはほぼ完全な状態だったとのこと。発掘した科学者チームは、この翼竜をアズダルコ科の「Thanatosdrakon amaru」という種の個体だと同定しました。Thanatosdrakonはギリシャ語で「死の竜」を意味し、「amaru」はインカ帝国で信仰されていた双頭の神の名前を意味しているとのこと。

Thanatosdrakon amaruの原寸大模型の前に並ぶダヴィド氏



ダヴィド氏によると、化石になっていた2頭のThanatosdrakon amaruには親子関係を示すようなものはなかったとのこと。しかし、小さい方の化石はやや幼い個体のものだということがわかったそうです。

ダヴィド氏は「この化石に眠る2つの事実が、私たちの注意を引きました。1つ目は遺体の大きさと保存状態で、この種の脊椎動物ではなかなか見られないものでした。2つ目は、巨大な翼竜の化石は基本的に断片的にしか出土しないので、これだけの量がまとまって発掘されることは非常に珍しいケースだということです」とコメントしました。

なお、発掘された化石はメンドーサ市にあるクーヨ国立大学の恐竜研究所に保管されており、化石標本を保存するために原寸大の模型を鋳造し、博物館で展示するとのことです。