ブランドランキングで初の首位、それでも悩み深まるスバル
スバルが初の首位を獲得―。米有力消費者情報誌「コンシューマー・リポート」が2月、2019年版の自動車ブランドランキングでこう報じた。SUVの信頼性や顧客満足度の高さが米消費者から支持されたという。
ただ、米国事業を取り巻く環境はじわりと変化している。市場は16年をピークに縮小している上、トランプ政権が保護主義的な通商政策を推し進める。特にスバルが懸念するのは、日米物品貿易協定(TAG)の行方だ。
スバルはノックダウン工場を除き、日本と米国にしか工場を持たない。米国販売の約半分を日本から輸出する。TAG交渉の結果、米が自動車輸出の数量規制を課せばスバルは現在の生産戦略を大幅に見直すことになり収益が打撃を受ける可能性がある。中村知美社長は「簡単に答えが出ない非常に難しい問題」と厳しい表情を浮かべる。
スバルが得意とするSUVを巡る競争激化もある。19年はトヨタ自動車が新型SUV「RAV4」を発売するなど各社がSUVの投入を強化する。
スバルの販売奨励金(インセンティブ)はトヨタや日産など日系他社と比較して低水準で推移するが毎年上昇傾向にあるのも事実だ。スバルの米国事業の成長を支えてきた、「販売台数を追わず、ブランド価値を重視する」(中村社長)戦略がどこまで維持できるかはわからない。
今後カギを握るのが南部だ。スバルはこれまで4輪駆動車の支持が高い北部を中心にユーザーを広げており、南部に伸びしろがある。現在はブランド戦略が奏功し、徐々にサンベルトを中心とした南部に広がりつつある。26年3月期までの中期経営計画では南部の開拓を進め、米国でのシェアを18年の3・9%から5%に拡大することを目指す。
就任からまもなく1年を迎える中村社長。就任前は約4年間、米国販売会社のトップを務め、現地のディーラーとは現在も電話で直接やりとりするほど良好な関係が続く。米国を熟知する中村社長の采配が問われる。
(文=下氏香菜子)
