金沢学院東高等学校(石川)「実践につながる ティーバッティングNo.2」 (全3回)

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 第1回では金森 栄治監督に打撃の基本を解説していただきました。今回は金沢学院東流のティーバッティングを動画と解説を交えて紹介していきます。

金沢学院東流・ティーバッティングメニュー

 ここで話題は「ティーバッティング」へ。金森監督に尋ねたところ、金沢学院東で通常行われているティーバッティングメニューは次の7種類だという。

スタンドティースタンドティー(ウォーキング&バックステップ編)正面からのトス(トスマシーンを使用)斜めからのトス横からのトス背中側からのトス真後ろからのトス

 各メニューの内容とポイントを金森監督の言葉で順に紹介したい。

スタンドティーメニューの見本を見せる金森 栄治監督(金沢学院東高等学校)

1.スタンドティーティー台の上に置かれた、止まっているボールを打つ、通称「置きティー」と呼ばれているティーバッティングメニューです。素振りの延長のように自分主導で、しかも一人でも行うことができるので、スイングづくりに最適。自分の立ち位置を変えればあらゆるポイントで打つ練習も可能になるため、日頃からじっくりと取り組んでほしい私のイチ推しメニューです。

 お薦めしたいのが、極端にボールに近づき、インコースを打つ練習。普通に振った場合、バットの根っこにしか当たらないような窮屈な位置に立ち、あえて根っこで打つ。でも不思議なことに、実際にボールが当たる位置は自分が打ったつもりの位置よりも数十センチレベルで芯側にずれるんです。この練習を繰り返すことで「バットの根っこで打つつもりで振っても実際はそこまで根っこには当たらない」という安心感が生まれ、詰まることへの恐怖心がなくなっていく。詰まることを恐れないことはいいバッターになるための必須条件。その要素を身につけるにはスタンドティーを上手に利用することが近道です。

2.スタンドティー(ウォーキング&バックステップ編)前方に歩きながらスタンドティー打つことで、スムースな体重移動のコツを身につける効果のある「ウォーキング」と、後ろに下がりながら打つことで、軸足に体重を乗せてからスイングするコツを身につける効果のあるバックステップ。交互にバランスよく行うことで両方のメリットを享受しやすくなります。

3.正面からのトス(トスマシーンを使用)近距離の正面からトスマシーンで投じられた山なりの緩いボールを打ち返すメニュー。体重をしっかりと軸足にためつつ、ボールを体の近くまで呼び込む感覚を養うのに最適です。もしもトスマシーンがチームになければ手投げでも可。その場合は打球が投げ手を直撃しないよう、ネットの配置に細心の注意を払うこと。

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トスマシンを利用したティー打撃(金沢学院東高等学校)

4.斜めからのトスバッターの斜め前方からトスされたボールを打ち返すティーバッティング。一般的にティーバッティングといえばこのメニューを思い浮かべる方が多いんじゃないかと思います。このメニューの懸念ポイントは斜め前からトスされたボールを投げ手に当たらないように打ち返さねばならないため、無意識レベルでバットのヘッドが早く体から離れるアウトサイドインのスイングになりやすいこと。インサイドアウトのスイングがきちんと出来上がっている選手はいいのですが、正しいスイングが身についていない段階の選手には、あまりお薦めしたくないメニューです。トスを上げる人は、トスの軌道が少しでも正面からの軌道に近づくよう、右打者には右手で、左打者には左手でトスを上げるようにしてあげてください。

5.横からのトスバッターの真横からトスを上げるメニューです。空間に浮かせるようなイメージでそっとトスを上げてください。バッターが打つポイントをトス側が自由にコントロールできる点がこのメニューの大きなメリットです。

6.背中側からのトス右打者の場合、サードの方向からトスを上げるメニュー。バットを内側から出し、ボールの内側を叩くコツを会得するのに有効です。ただし、バットのヘッドが早く体から離れる、極端なアウトサイドインのスイングの選手がこのメニューを行うとトスを出している選手に打球が飛ぶ危険性が高いので、お薦めしません。

7.真後ろからのトスキャッチャーの位置から投手方向へトスを上げるメニューです。ヘッドが体から早く離れ、外側からバットがかぶって出てくるようなスイングだと、後ろからトスされたボールをうまくセンターの方へ打ち返せないため、続けるうちに、内側からバットを出すコツを会得できる効果があります。

【これらの「1〜7」のメニューはすべて動画でも紹介します!】

 第3回では、金沢学院東の金森監督にティーバッティングにまつわるQ&Aを応えていただきます。

(取材・文/服部 健太郎)

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