菅元首相が台湾の原発を称賛?  事業者側の報道発表が波紋

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(台北 14日 中央社)訪台中の菅直人元首相は13日夜、台湾電力公司が同日発表した菅元首相の原子力発電所視察に関するニュースリリースについて、台湾の第1原発の安全対策を称賛したことはなく事実無根だと表明した。

菅元首相は13日午後、新北市の台電第1原子力発電所を訪問。台電側から安全総点検や安全強化措置について説明を受けた後、制御室を視察した。台電の発表によると菅元首相は使用済み核燃料の注水設備、原子炉隔離時冷却システム、空冷式タービン発電機の設置状況などに触れ「福島第1原発より優れており、全てに良好な安全措置がなされている」と発言したとされる。

これに対し菅元首相は13日夜に参加した反原発集会でメディア取材に応じ「原発視察では台電から安全対策に関する説明を受けただけ」と称賛発言を否定。集会では集まった200人前後の一般市民を前に30分間熱弁を披露し“原発ゼロの社会”を訴えた。一部メディアの報道によると、地元の聴衆からは熱烈な歓迎を受ける一方で、プラカードを持った日本人からは台湾へ恥さらしに来るなと痛烈な批判が繰り広げられたという。

菅元首相はこのほか13日午前に台北地域の水がめ・翡翠ダム(新北市)を視察し、夕方には朱立倫新北市長と会談。台北地区は台湾の総人口の3分の1を占めており、原発制御ができなかった場合には影響範囲は大きいものになると指摘。技術力の向上による原子力エネルギー依存度の低下に期待を示した。

訪台は15日までの予定で、14日夜には台北市内で反原発団体の主催する講演会に出席、福島第1原発事故発生当時の状況を振り返るとしている。

(編集:齊藤啓介)