25日のユーロ2012予選グループD第5節、フランスが敵地に乗り込んでルクセンブルクと対戦、2―0で勝利をおさめた。格下ながら守りを固めてくる相手に対し、ややフラストレーションの残る内容だったが、フランスはこれで予選4連勝。勝ち点を12に伸ばし、グループ首位の座を固めた。

 この試合の注目は、何といってもW杯での練習ボイコットで“主犯”の扱いを受けたDFパトリス・エヴラ(マンチェスター・ユナイテッド)とMFフランク・リベリ(バイエルン・ミュンヘン)の復帰。レキップ紙が2人の試合後の談話を報じている。

 ピッチに入りフランス国歌が流れると「感激と誇りで胸がいっぱいになった」というエヴラ。「クラブでプレーするだけでは、半分しか仕事をしていないような気がしていた。国のためにプレーできてはじめて100パーセントなんだ。9ヶ月にわたる辛い時期の間、僕を支えてくれたすべての人にお礼を言いたい」と代表復帰の喜びを語った。

 もうひとりのリベリも、「感動した。頭の中にいろいろな思いがよぎった。このユニフォームを着ることはいつだって幸せ。現役でいられる時間はあまりにも短い。でも自分にとって9ヶ月は長かった。いまはこの瞬間を大事にしたい」と話した。

 ただし、この試合ではとくにリベリの動きに硬さが目立った。チームメイトのフィリップ・メクセス(ASローマ)は、「フランクは少し緊張していたね。パトリスもそう。彼らにとって簡単ではなかったろう」と2人を気遣った。

 リベリが本来のキレを見せたのは、得意の左サイドにポジションを移した後半に入ってから。ドリブルでペナルティエリア内に切り込み、グルキュフの追加点につなげた。ローラン・ブラン監督は「とくに後半、彼らが試合の流れに乗ってからは、ずっとよくなった」と好感触を得たようだ。

 ドメネク監督時代に左サイドにこだわって監督を悩ませたリベリを意識して、「ポジションを決めるのは選手じゃない」とクギを刺していたブラン監督だが、このあたりは考えどころだ。同じく左サイドを得意とするマルダといかに共存させるかがむずかしい。

 とにあれ監督にとっては、「彼らの復帰がチームの勢いを乱すことはなかった」と難題を無事にクリアしたことに安堵のほうが大きいのはたしかだ。

 なお2人がブラン監督の下でプレーするのはこれが初めてとなったが、ドメネク監督時代との違いについて質問されたエヴラは、「細かい点には触れないが、言うなれば昼と夜だね」と答えた。どちらが昼でどちらが夜かは言うまでもない。