お笑い芸人に求められることとはなにか。第一は当然、おもしろさだ。芸人は人を笑わせることを生業としているのだからこれはしかるべきであろう。しかしここ数年、人を笑わせるという点ではさほど重要ではないことに注目が集まっている。それはずばり、見た目だ。

 よしもとクリエイティブ・エージェンシーが2000年から集計を取っている「吉本男前ランキング」に始まり、テレビではロンドンハーツの「奇跡の1枚」にアメトーーク!の「ハンサム芸人」と、芸人の見た目についてフィーチャーする企画が目白押し。芸人を紹介する枕詞に“イケメン芸人”“イケメンコンビ”が使われることも当たり前になってきた。

 一昔前まではお笑いは不細工の方が有利だとされていた。顔だけで笑いを取れるのは確かにけっして小さくはないアドバンテージだし、ときに人を笑わせるのではなく笑われることすらある芸人はイケメンに適正がある職業だとは考えられていなかったという側面もある。しかし平成も20年をすぎた今イケメン芸人は大増殖し、本来ならただ澄ましていればいいだけのアイドルすら笑いを取ることに対し目の色を変えているのだ。

 アイドルはさておき、芸人である以上は格好良いだけではいけない。イケメンだからといって登場した瞬間に笑いが起こるなどあり得ないからだ。爽やかなルックスと軽やかなテンポが相乗効果となり大成功を収めたオリエンタルラジオ(よしもと・クリエイティブエージェンシー)などは稀有な例。ほとんどのイケメン芸人たちは自らの思惑とは裏腹に珍重される見目麗しさを持て余しているのではないか。

 そんな中、オリラジとは逆のスタンスで成功したのが「チュートリアル」徳井義実(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)。あれほど整った顔立ちをしていながら気持ち悪い妄想をくり広げ、そのギャップを笑いに変えている。漫才の実力はM-1という折り紙つきだし、フリートークでも頭角を現してきた。

 そんな徳井がホストを務める「しゃべくり007」(日本テレビ系)、26日の生放送は興味深い内容だった。ご存知の方も多いと思うが、徳井が同番組内でもたびたび話題となっていた噂の女性との顛末を包み隠さず話したのだ。気取らず、ふざけず、女性に対して抱いていた思いを正直につづる姿に好感を覚えたのは私だけではあるまい。徳井の言葉には女性とその周囲に対する思いやりすら感じられた。

 芸人一のビューティフルフェイスと名高い徳井の、あの日の男らしさはどうだ。生放送のスタジオで徳井はハンサム芸人でもTOKUIでもない一人の男として輝いていた。顔が良いだけではない、確かにそこに存在する誠実さ。一般的に顔の美しい人間は心はさほどでもないといわれているが、徳井はそれが都市伝説だということを世間に知らしめたのだ。それでいて普段はあれだけ笑いをとるのだから大したものとしかいいようがない。

 芸人が必ずしもイケメンである必要はない。しかし、仮に同じ力量の芸人が二人いたとして、一人はイケメン、一人は十人並みだったら確実に女性票はイケメンに集まる。これは覆すことのできない事実だ。なにより、どうせ目に映るものだったら美しい方がいいに決まっている。徳井よ、オリラジよ、そしてまだ見ぬイケメン芸人たちよ。これからも存分に女性たちの心と目を楽しませてほしい。

(編集部:三浦ヨーコ)


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