自民党の新憲法起草委員会であいさつする森喜朗委員長(右端)(撮影:宗宮隆浩)

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自民党は28日、党本部で総務会を開き、同日の新憲法起草委員会(委員長・森喜朗前首相)で決定した草案を、修正の可能性を残して了承した。同草案は、憲法9条に「自衛軍の保持」を明記、前文で「国を守る責任」などについて触れた。修正は、森委員長に一任し、11月22日の結党50周年記念党大会で発表する予定。

 9条については、戦争放棄を誓った第1項はそのまま維持する一方、戦力の不保持を宣言した第2項を削除、新たに「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする自衛軍を保持する」ことを明記した。また、国際平和を確保するために「国際的に協調して行われる活動及び緊急事態における公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる」と規定した。

 同委員会は、前文に関する小委員会(委員長・中曽根康弘元首相)、天皇に関する小委員会(同・宮沢喜一元首相)、安全保障に関する小委員会(同・福田康夫前官房長官)など、テーマごとに10の小委員会を抱える。2005年1月の初会合から小委を含め60回以上の議論を重ねた。

 同草案は、前文で「国民によって制定する憲法」であることを協調。象徴天皇制を維持し、「国民主権」「民主主義」「基本的人権の尊重」「平和主義、国際協調主義」を不変の価値として継承した。「帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有」するとした上で、「教育の振興と文化の創造及び地方自治の発展を重視する」とうたった。
 
 また、「国民の責務」について言及。「自由及び権利には責任及び義務が伴う」として「常に公益及び公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う」ことを記した。

 そのほか、「国の環境保全への責務」や「個人情報の保護」なども新設した。法の下の平等においては、障害者らへの「弱者保護」も盛った。

 起草委員会では、委員から9条など安全保障問題や前文の文化、伝統に関する記述をめぐり、修正を求める意見などが出た。【了】

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