民主党憲法調査会であいさつする枝野幸男会長(撮影:徳永裕介)

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民主党は31日、党憲法調査会総会を開き、改憲へ向けて党の方向性を示した「憲法提言」を決定した。安全保障問題では、国際ルールにのっとった「制約された自衛権」を認め、国連主導の安全保障活動にのみ参加を可能とした。自民党が28日に「新憲法草案」を発表し、公明党が加憲、社民、共産党が護憲の立場をあらためて鮮明にするなど、憲法論議は活発化しつつある。

 同党では、99年に同調査会が発足、安全保障や地方分権、人権など5つの小委員会で分野別に検討してきた。提言は、その小委での議論を集約したもの。条文形式ではなく、同党の考え方を記し、国民による議論の「たたき台」とした。

 提言では、安全保障活動について、「平和主義の貫徹」「制約された自衛権」「集団安全保障活動への参加」「民主的統制」の4つの原則を提示。戦後日本の根幹を成してきた「専守防衛」精神を尊重し、自衛権は、国連憲章第51条で規定した国連の集団安全保障活動が発動するまでの間の、緊急避難的な活動に限定した。

 また、国連多国籍軍や国連平和維持活動(PKO)など「国連の正統な意思決定に基く」集団安全保障活動への参加を認め、関与の度合いは政府が検討する、とした。そのほか、首相主導の政府運営や地方分権改革の推進、「知る権利」「プライバシー権」などの新しい人権の確立にも触れた。

 総会後、会見した同調査会の枝野幸男会長は「憲法議論の出発点となる提言。一定の『幅』があり、いただいた意見がすべて、この幅の中に入っている」と、今後の国民的議論の中で細部を詰めていく方針を示した。【了】

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