3Dプリンターで作られた「家」が発展途上国の家不足を救うかもしれない
3Dプリンターで家を作る試みは数年前から行われてきましたが、早ければ2019年にもエルサルバドルで100棟の3Dプリンター製の家が作られるかもしれないと報じられています。
This cheap 3D-printed home is a start for the 1 billion who lack shelter - The Verge
https://www.theverge.com/2018/3/12/17101856/3d-printed-housing-icon-shelter-housing-crisis
ICONによると3Dプリンターで出力できるのは60平方メートルのセメント製の家で、建設にかかる時間はおよそ12〜24時間ほどだとのこと。発表されたモデルルームにはリビングルーム・ベッドルーム・バスルーム・ポーチが備えられ、「これまで作られてきた倉庫や小屋のような3Dプリンター製の家とは違います。材料に樹脂ではなくセメントを使用するのも、構造の頑丈さに懸念を抱かせないためです」とバラード氏は語っています。今後、建設した3Dプリンター製の家に大気モニターを設置し、実際に居住した際にどのような匂いを感じるのかといった面でもテストを進めるそうです。
ICONが発表した3Dプリンター製の家がどのように作られていくのかは、以下のムービーから確認可能です。
New Story + ICON : 3D Printed Homes for the Developing World
世界では10億人以上もの人々が、安定的な住居を持てないまま暮らしています。
職人が一生懸命家を建設しても、家1軒を建てるには時間がかかります。
ICONはハイチ・エルサルバドル・ボリビアで住宅問題の支援を行っているNPOのNew Storyと提携しており、3Dプリンターを使って24時間以内で家を建設する計画をテストしています。
左側に見える銀色のアームが、家を建設する巨大な3Dプリンターです。
あらかじめ組み立てられた簡単な枠に沿って、樹脂ではなくセメントで家の構造を作っていきます。
高さを出すため、何度も同じ箇所を往復してセメントを塗り重ねていきます。
そして、デモンストレーションとしてアメリカのオースティンに建設された3Dプリンター製の家がこれ。
完成した家には簡単なポーチがあり……
リビングルームと個人部屋も作られています。
さらにベッドルームと……
トイレもありました。
ICONとNew Storyは、計画が順調に進めば2019年にエルサルバドルで100棟の3Dプリンター製の家を建設する予定だとしています。
「3Dプリンターで家を作る」という最先端技術を発展途上国に持ち込むという発想について、New Storyのアレクサンドラ・ラフシ氏は「携帯電話がライフラインや交通網の整っていないアフリカで有用な通信手段となり、銀行のない地域でも金融決済を可能にしているという例があります。携帯電話の導入がアフリカで効果を発揮したのと同様、私は3Dプリンターで家を作る計画が発展途上国の住宅問題を解決すると信じています」と語りました。
さらに、ICONは世界の住宅問題を解決した後のことも考えているとのこと。「それは『地球外の惑星に居住可能な家を3Dプリンターで建設する』というものです。3Dプリンター製の家にはそれだけの可能性があります」とバラード氏は述べています。