毎年春、夏、冬に発売され、JR線の普通列車が乗り放題になる「青春18きっぷ」を利用して東京〜大阪間を移動する際、知っておくと便利な豆知識を紹介します。

最速でも9時間、長旅を快適に過ごすコツは?

 JRの普通列車が乗り放題となる「青春18きっぷ」。利用期間中は全国を移動できますが、特に日本の三大都市を結ぶ東京〜大阪間は全体の利用者が多く、旅行や帰省などで「青春18きっぷ」を使うケースも考えられます。


東海道本線を走る普通列車(2017年7月22日、草町義和撮影)。

 新幹線の「のぞみ」普通車指定席(通常期)で東京〜新大阪間を移動すると片道1万4450円かかるところ、「青春18きっぷ」なら1日あたり2370円と格安です。ただ、東京〜大阪間の「青春18きっぷ」の旅は長丁場。長旅を快適にするための豆知識をご紹介します。

どんなコース?

 東京〜大阪間を最も早く移動できるのは、東海道本線経由(東京〜熱海〜静岡〜浜松〜名古屋〜大垣〜米原〜大阪)のルートです。途中下車なしでも約9時間かかります。
 
 ほかにも、東京〜名古屋間を中央本線経由で行くルート(東京〜大月〜塩尻〜中津川〜名古屋)や、名古屋〜大阪間を関西本線経由で行くルート(名古屋〜亀山〜加茂〜奈良〜大阪)があります。目的地までの所要時間はそれぞれ約12時間、約10時間30分と、さらに長くなりますが、明るい時間であれば東海道本線ルートとは違った山の景色や田園風景などが楽しめます。

普通列車グリーン車で東京〜沼津間を快適に

 普通列車のグリーン車自由席は、グリーン券を追加購入すれば「青春18きっぷ」でも利用できます。特に、東海道本線の東京〜熱海間はグリーン車を連結した普通列車が多く運行されています。車内はリクライニングシートを備えた快適な空間。お弁当を食べるのにも便利です。
 
 ちなみに、グリーン車が連結されている普通列車は熱海行きだけでなく、熱海から約22km先の沼津行きも1日に9本運転されています。東京〜熱海間と東京〜沼津間のグリーン料金(事前購入)はともに平日980円、土休日780円と同額ですから、沼津行きに乗った方が快適な座席に長く座ることができます。

東京〜大阪移動の「難所」、どう抜ける?

 東海道本線ルートの一部には、乗り継ぎの待ち時間や車内混雑で時間と体力を消耗しやすい区間があります。

時間と体力を要する乗り継ぎ区間の攻略法は?

●熱海〜浜松間
 昼間は直通列車が少なく乗り継ぎが必要で、列車も短い編成が多いため、車内が混雑して長時間座れないことも。ただし、乗り継ぎ列車のほとんどは下りは興津駅、上りは島田駅から始発になりますので、それらの駅でいったん降りて次の列車の始発を待つと、座れる可能性が高まります。


東海道本線の浜松行き普通列車(画像:写真AC)。

●大垣〜米原間
 普通列車は30分間隔で待ち時間が長く、車両数も少ないため混雑しやすい区間ですが、乗車時間は約35分。我慢して乗り切るという選択肢も。朝夕の時間帯は豊橋〜米原間を直通する新快速も利用できます。

お弁当や食事休憩はどの駅がおすすめ?

 お弁当を手に入れるのに便利な駅は、出発地点となる東京駅と大阪駅。それぞれ朝5時30分、朝6時30分から改札内の弁当店が開店します。途中駅では、商業施設が充実する名古屋駅がおすすめです。豊橋駅にも食料品店や飲食店などの改札内店舗があり、乗り換えのついでに利用できます。


浜松駅も飲食施設が充実している(2017年07月22日、草町義和撮影)。

 また、途中駅で改札を出て食事を楽しみたい場合は、名古屋駅のほかにも、駅周辺に飲食店がある浜松駅と大垣駅が便利です。

いざという時の最終手段、「新幹線ワープ」

 事前にスケジュールを立てていても、予期せぬトラブルで遅延が発生したりすると、普通列車の乗り継ぎではその日のうちに目的地にたどり着けないケースが出てきます。


緊急時には新幹線を使うという手もある(画像:写真AC)。

 そんな場合には、あえて「青春18きっぷ」を利用できない新幹線を使う裏技、いわゆる「新幹線ワープ」が有効です。乗車券と新幹線特急券を購入しなければなりませんが、ひと駅分の自由席は原則として大人860〜980円の「特定特急料金」となるため、比較的安く利用できます。

 たとえば、東京山手線内に到達する上り最終列車に間に合うためには、遅くとも浜松発19時54分の静岡行きに乗らなければなりません。この列車に乗り遅れてしまった場合でも、浜松発20時11分の「ひかり」で静岡まで行くと、その先の乗り継ぎ列車に追いつくことができます。追加で買わなければならないきっぷは、乗車券1320円と自由席特急券980円の合計2300円です。
 

【写真】普通列車グリーン車で旅を快適に


テーブルのあるグリーン車を使えば、駅弁を広げることもできる(2015年06月12日、草町義和撮影)。