(写真/PIXTA)

写真拡大 (全3枚)

リクルート住まいカンパニーが「2017年大型リフォーム(リフォーム費用300万円以上)実施者調査」の結果を発表した。中古を買ってリフォームした人の場合、物件購入費用は平均3156万円、リフォーム費用は平均628万円だという。それぞれ費用はどうやって捻出するのだろうか?【今週の住活トピック】
「2017年大型リフォーム実施者調査」を発表/リクルート住まいカンパニー

購入した中古住宅を入居前にリフォームした理由に、「自分好み」や「割安」も

この調査は、直近3年以内に、300万円以上のリフォームを実施した人が対象。300万円以上のリフォームということは、キッチンや浴室などの水まわりの交換や複数居室など広範囲なリフォームをしたということだろう。

この中でも、中古住宅を購入してリフォームした人に注目してみたい。

中古で購入した住宅をリフォームした人は、全体の20.2%。この中には、入居後ある程度住んだうえでリフォームした人も含まれるので、純粋に「中古で購入した住宅をリフォームしてから住み始めた」という人を見ると、このうちの55.1%だった。つまり、全体の1割強が中古を買ってリフォームして住んだと見られる。

入居前にリフォームした理由を複数回答で聞くと、「リフォームすることで、自分好みの家にしたかったから(デザイン)」が35.9%、「住みたい物件を見つけたがリフォームが必要だったから」が34.8%、「(新築と比べて)費用を抑えたいと思ったため」が27.2%、「リフォームすることで、自分好みの家にしたかったから(間取り)」が26.1%と上位に挙がった(画像1)。

老朽化などによる「必要性」もさることながら、「自分好み」や「割安」を求めたということが分かる。

【画像1】中古住宅を購入して、入居前にリフォームした理由(複数回答)(出典:リクルート住まいカンパニー「2017年大型リフォーム実施者調査」より一部抜粋して転載)

中古を買ってリフォームは、割安?

新築を購入するより中古を購入してリフォームしたほうが、費用が抑えられるのだろうか?
新築の価格が高騰している都心部などでは、総額で抑えられる可能性も高いが、実際には希望する立地や物件によって異なるだろう。

調査結果ではどうなっているのだろう。
中古を購入してリフォームした人の全体の平均額は以下のとおりだ。( )内は首都圏と関西圏の平均額だ。
・物件購入費用 :3156.3万円(首都圏:4014.1万円、関西圏:2280.0万円)
・リフォーム費用:628.1万円(首都圏:513.9万円、関西圏:757.9万円)

もちろん、物件価格に重きを置いた人もいれば、安く買ってリフォームにお金をかけた人もいるだろう。
調査結果の特徴としては、広範囲に分散していることが挙げられる。画像2を見ると、物件購入費用は、「1000万円未満」〜「5000万円以上」までそれぞれに分散しているし、リフォーム費用は、「300万〜500万円未満」が半数近いものの「500万〜700万円未満」〜「1000万円以上」までそれぞれ分散している。

また、首都圏では物件購入価格が高くなる代わりにリフォーム費用を抑える傾向が見られ、関西圏ではその逆の傾向が見られるといった特徴もうかがえる。

【画像2】1)中古を買ってリフォームした人の物件購入費用 2)中古を買ってリフォームした人のリフォーム費用(数値自由回答)(出典:リクルート住まいカンパニー「2017年大型リフォーム実施者調査」より一部抜粋して転載)

中古+リフォームは、「築年数の古いものを安く買って、大がかりにリフォームをする」のか、「立地や広さなどにこだわる代わりに、リフォーム費用を抑えられる物件を選ぶ」のかなど、戦略的に選択できるという側面もあるわけだ。

購入+リフォーム、それぞれの費用はどうやって捻出する?

調査結果(複数回答)を見ると、物件購入費用は「住宅ローン」が62.0%、「自己資金」が52.2%だが、リフォーム費用は「自己資金」が66.3%、「(物件と合わせて借りる)住宅ローン」が22.8%、「リフォームローン」が9.8%となっている。ほかには、親などからの贈与や融資などがある。

物件購入費用で住宅ローンを使っていない人が4割近くいるということは、物件購入の全額を自己資金や親からの贈与などでまかなったということだろう。物件価格が1000万円未満や1000万円台であれば、それも十分可能だ。

つまり、どのように費用を捻出するかは、「自己資金や贈与などでどれだけの額を充当できるか」でかなり変わってくる。

中古+リフォームの費用については、物件購入費用には主に「住宅ローン」を活用し、リフォーム費用には「自己資金」や「親からの贈与」を活用するのが一般的だ。リフォーム費用は、追加工事が発生するなど変動する可能性が大きいので、柔軟に対応できる自己資金などを利用するほうが使い勝手がよいからだ。調査結果を見ても、リフォーム費用では圧倒的に自己資金が多くなっている。

「住宅ローン」は、住宅購入だけでなく、一定のリフォームでも利用できる。購入した物件を担保にするので、35年などの長期間の返済で、低金利で借りることができる。その分、審査に時間がかかったり、抵当権設定などの諸費用がかかったりする。

最近では、「中古住宅+リフォーム一体型」の住宅ローンも登場し、物件購入にリフォーム費用をプラスした金額を借りることができる事例も増えている。ただし、中古住宅を購入する段階で、リフォーム費用が確定している必要があるなど、購入とリフォームの見積もりを並行して行っていないと利用できないということがある。

一般的に「リフォームローン」なら無担保なので審査期間も短く、購入後にリフォームの見積額が確定してから申し込んでも間に合うなど、柔軟な対応がしやすい。ただし、住宅ローンに比べると借りられる額が少ない、返済期間が短い、金利も高めに設定されているといった違いがある。

こうしたローンの違いを理解したうえで、自己資金や贈与などでいくらまで住宅取得に充てられるのか、その額をどこで使うかというように検討し、それぞれの費用の捻出方法を決めるのがよいだろう。

「中古住宅を購入」して、入居前に「リフォームする」のは、決して簡単なことではない。それぞれ難易度が高いうえ、時間的な制約もあって効率よく進める必要があるからだ。一方で、自分の予算をどう振り分けるかといった選択肢が豊富なので、安く買って思い切ったリフォームをしたり、立地にこだわって手が届くものを探したりといったことも考えられる。それが楽しめるか、難しいと思うかは、人それぞれだろう。


(山本 久美子)