<IQは高いほうがいい――メディアは高いIQ値を売りにするタレントを取り上げ、こんな通説に従う傾向があるが...>

心理学研究レポートを掲載する「インテリジェンス」誌の論文によると、優れたIQ(知能指数)値は「心理的および生理学的な危険因子」でもあることが判明した。調査を行ったのは、アメリカのピッツァー大学とシアトル・パシフィック大学の研究者たち。人口上位2%のIQを持つ人たちが参加する国際グループ「メンサ」の会員にアンケート調査を行った。一般的なIQ値平均が100のところ、メンサの会員は132以上の高いスコアを持つ。

アンケートの結果メンサの人々は、不安障害、アレルギー、喘息、自己免疫疾患などの症状を抱える可能性が一般的なIQ値の人よりも高かった。IQ値の高い人に何らかのリスクを指摘する研究は過去にもあり、この調査を行った研究者も「有名な天才たちに、高い割合で精神病理が発現するということは全く新しい概念ではない」と言っている。

ただ、現在の情勢と紐付けてみると、そこにさまざまな「啓示」が見えてくる。

大統領のヒステリーは高IQの賜物!?

ドナルド・トランプ米大統領のIQが高いことはよく知られている。というより、トランプ自身がアピールしている。2013年にはこうつぶやいた。「私は常識と思いやりのある(IQがとても高い)人間だ」

トランプのIQに関するツイートは多々あり、これまでに少なくとも22回投稿したと英紙ガーディアンが報じている。10月には、レックス・ティラーソン米国務長官に「馬鹿」と呼ばれた可能性があるならIQテストの結果で比較しなければならないと息巻いていた。とにかくIQに関する話題が大好きでたまらない。同紙は「彼のヒステリーは高すぎるIQのせいだ」と、皮肉っている。

「自分のIQを誇っている人は敗者」

誰もがトランプのようにIQネタに執心しているわけではない。2004年、ニューヨーク・タイムズ紙は著名な宇宙物理学者スティーブン・ホーキング博士にIQについて尋ねた。するとホーキング博士は「自分のIQの高さを誇示する人は敗者だ」と答えた。

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部