<太りすぎの子供は、身体的な問題だけでなく、健全な社会性までも培えない可能性が>

肥満体型の子供は、標準体型の子供に比べて友達ができにくいことが判明した。南カリフォルニア大学で予防医学を研究するケイラ・デ・ラ・ハイエ助教授は7日、科学系ニュースサイト「ライブ・サイエンス」で、「太った子供は仲間外れになっている」と指摘。さらに「拒絶と嫌悪を受けることで社会性が養われないリスクもある」と警鐘を鳴らした。

研究はオランダのとある高校の28クラス504人を対象に行われた。身長と体重を測定したうえでアンケートを実施。友人だと思う人と、嫌われていると思う人の名前を人数制限なく挙げるよう指示した。

結果は一目瞭然だった。70%のクラスで太っている子よりもスリムな子のほうが、友人と見なされる傾向にあった。そして肥満の子たちは、スリムな同級生より嫌われる確率が1.7倍高かった。

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5人に1人が肥満

米疾病対策センター(CDC)によれば、今やアメリカの未就学児童の5人に1人が肥満に苦しんでいるという。今回の結果を受けて研究者らは、肥満に起因する様々な問題を解決する手がかりになると考えている。

ハイエ助教授によれば、周囲が肥満を敬遠することが、肥満児に減量を決意させる動機付けになるという証拠はない。その一方で、肥満であれば社会的、精神的にリスク要因になるという証拠は多い。高カロリー食品を好んで食べる肥満児は、さらに活動的でなくなり、似た者同士で集まる傾向にある。

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ワシントン・ポスト紙 によれば、2015年にアメリカで、肥満の子供を持つ親にアンケート調査を行った結果、95%の親が自分の子供のサイズは丁度良いと考えていた。ニューヨーク大学メディカルセンターのダスティン・ダンカン助教授によるこの調査では、肥満の子を持つ親は正常な体重に関する知識や感覚が欠如していることが明らかになった。

肥満の幼稚園児は小学校に進学しても肥満の可能性が高く、肥満の小学生はそのまま思春期に入り、成人になっても肥満は続く。

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部