里帰りにも様々な苦労があるようで(写真:アフロ)

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 事情を紐解いてみると、同情を禁じ得ない、ということはままある。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。

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 出租女友臨時兼永遠──。こんな広告がネット上に急増したのは、春節を控えた1月のことである。「出租」は中国語でレンタル。つまり彼女のレンタルの広告で、「一回きり」から「長期間」までメニューがあるという意味だ。

 このうたい文句の下では、前髪をきりそろえた清楚な雰囲気の女性が黒いワンピースに鞄を斜めにかけてニッコリほほ笑んでいる。その横には「価格」の文字があり、「1000元(約1万6700円)」と書かれてある。

 その隣には白いワンピースに黄色のカーディガンを着たロングヘア―の美女が小首をかしげてほほ笑む。こっちの広告の誘い文句は、目的がもっと明快だ。

 ガールフレンドをレンタルして故郷に帰ろう!

 1月16日、遼寧広播電視台が報じたニュースのタイトルは、〈結婚紹介所がガールフレンドをレンタルして大繁盛 1泊2日で3000元(約5万100円)〉だった。

 これについては説明は必要ないだろうが、要するに故郷に帰るたびに恋人の有無を聞かれ、孫を待望する話をされてしまう独身男性が春節を前に体裁を取り繕うためのビジネスが大盛況だということだ。日本では、「早く孫の顔が見たい」とせがまれてうんざりするのはたいてい女性の設定だが、中国では男が深刻なプレッシャーを感じているという。

 ニュースの中で紹介された数字によれば、独身男性のおよそ70%が里帰り中に早く結婚しろといわれた経験を持ち、そのうちの2割の男性は今年のうちに相手を見つけろといわれたという。

 こんなプレッシャーにさらされたくないとの思いから、レンタル恋人がはやっているわけだが、こうしたビジネスにはトラブルがつきものである。

 ニュースのなかでは、父親が60歳になる誕生日にガールフレンドをレンタルしようとした男性が5100元(約8万5000円)を騙し取られたケースが紹介され、また逆に女性が強姦されてしまったという事例も扱っていた。いずれも法律的な保護が未整備だと弁護士が注意を促すという内容だった。

 たしかに、どこまでが契約上の「恋人の範囲」になるのかは線引きが難しいだろう。