「一刻者<紫>」

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焼酎は日本を代表する蒸留酒だ。その原材料は幅広く、米、麦、黒砂糖、そば――と多種多様な素材が使われている。サツマイモ由来の芋焼酎は個性的な香りが特徴で、最もファンが多いといわれる。

宝酒造は2016年10月18日から、芋焼酎「一刻者(いっこもん)<紫>」を全国で販売する。「一刻者」とは芋と芋麹(いもこうじ)のみを使用した芋100%のブランドで、<紫>は南九州(宮崎県・鹿児島県)産の紫芋を原材料にしている。

「華やかでフルーティーな香り」

紫芋はその名の通り紫の肉色をしている品種。赤芋よりも華やかでフルーティーな香りがするという。作付面積はサツマイモ全体の1%程度にすぎず、流通量が限られる。そのため紫芋で作った焼酎は、高価ながら売り切れが続出するプレミアム焼酎になる傾向にある。

焼酎は飲み方・割り方が自由なお酒でもある。本来の特長を味わいたいのでストレートという人がいる一方で、アルコールに弱い日本人は水やお湯で薄めて飲む場合が多い。酒文化研究所の山田聡昭さんは、この秋おすすめの飲み方として「炭酸割り」を挙げる。

「氷を入れて冷やして飲みやすくした『紫芋焼酎』を炭酸で割ると、シュワっと爽快感が出るだけでなく、炭酸ガスが香気成分を開放して香りを強調するので、特長である、華やかでフルーティーな『香り』を存分に楽しむことができる」

日本ソムリエ協会の岡昌治名誉会長は、「一刻者<紫>」の炭酸割りを実際にテイスティングし、次のような感想を述べた。

「『一刻者<紫>』をグラスに注いだ瞬間、ふわっと紫芋の香りが広がる。蒸し器から出したてのホクホクした紫芋の香りです。その後から、蒸栗のクリームのような、そうモンブランのような柔らかで優しい甘い香りがしてきました」
「他の紫芋焼酎とも飲み比べてみました。たいていの芋焼酎は米麹を使っているので、まず穀物の香りをストレートに感じます。その後、時間と共に少しずつサツマイモの香りが出てくる。それに比べ、純粋に紫芋の香りがするのが、この『一刻者<紫>』の特長でしょうね」
「味わってみると、紫芋自体の味が濃いからでしょうか、芋の味がしっかりします。香りと同様にホクホクした紫芋の優しい甘さを感じられるように作られていますね。それでいてとても爽やかです。少しの酸味があるため、ちゃんと味に締まりもあります」

芋焼酎作りでは一般的に米や麦などの穀物由来の麹が使われる。サツマイモでは麹菌がうまく増殖しないからだ。「一刻者」は芋で麹をつくる技術を確立し量産化に成功、芋麹を使うことで芋100%の味わいを実現した。

限定出荷の「一刻者<紫>」はアルコール度数が25度。価格は、720ミリリットルが1522円(以下税抜)、1.8リットルが3123円。詳細は公式サイトまで。