地元の住民が自分のお気に入りの店を大事にしてきた、知る人ぞ知るグルメタウン「代々木上原」。

騒がしくなく味は抜群の、分別の付いた大人のためのグルメ店が多く連なる。この機会に、一度訪れてみては?



代々木上原を象徴する老舗カフェ
深夜のおしゃべりも、昼のランチも。懐深く住民に愛される『ファイヤーキング カフェ』

上原1丁目


創業16年、代々木上原を代表するカフェと言えばこちら。

ファイヤーキングの食器のコレクターだったオーナーが始めた店で、アットホームだが上品な空間と、カフェなのにしっかり食事ができるのが魅力だ。

昼のランチタイムにはグリーンカレーなどエスニックを中心にした料理が味わえ、地元の住民の姿を多く見かける。また、深夜3時まで開いているので使い勝手は抜群。芸能人にもファンが多い。



ベイクドチーズケーキとコーヒーは、ファイヤーキングの食器で

ここでは、リンゴを発酵させて造られる発泡性の酒シードルを、樽生サーバーから頂けるのも人気。

ビールよりもフルーティーで、シャンパーニュよりも炭酸が柔らかい味わいは、昼からでも罪悪感がなく、仕事終わりの一杯にもピッタリだ。



本格派のグリーンカレーはこの店の一番人気メニュー。樽生でサーブされるシードルに合わせて。



客層は住民であろう年配のご夫婦から、おしゃべりに興じる女子など幅広い。広い店内で思い思いにすごそう。




テーブル席、カウンター、テラスのある広々とした店内
豪快な塊肉のグリルを築60余年の一軒家で『Grill&Pasta CHIANTI 代々木上原店』

上原1丁目


東京イタリアンの老舗『CHIANTI(キャンティ)』が2015年4月に開いた店がこちら。もうすっかりこの街にはなくてはならない存在の店になった。

軽井沢の農家から仕入れる味の濃い野菜と、豪快でシンプルな塊肉のグリルが人気だ。路地裏に建つ古民家を改装した空間も趣がある。

緑に囲まれた一軒家レストランで、ゆったりと美食を味わおう。



鉄板のせ赤身肉のグリル(150g)。さっぱりとしているので、すぐにプレートは空になってしまう



夏に狙いたいテラス席。昼と夜で異なる雰囲気を楽しんで




お客さんは近隣住民がほとんどだが、初めてでも入りやすいオープンな雰囲気
人気ビストロの1階に立ち飲みワインバーが出現『バー ア ヴァン メゾン サンカントサンク』

西原3丁目


人気の一軒家ビストロ『メゾン サンカントサンク』が、もともとデリだった1 階を改装し、立ち飲みのワインバーをオープンさせた話題の店がこちら。

フランスのレストランで働いた経験をもち、帰国後同ビストロでサービスを務めていた田井良樹氏が、思い入れのある作り手のナチュラルなワインを小皿料理とともに提供する。

帰り道にちょっと立ち寄りたい、自分だけのお気に入りにしておきたい店だ。



レバペ。やさしい甘さが魅力。どんな白ワインとも相性バツグン



オニオンロースト。丸ごとひとつのボリュームが嬉しい


個人の邸宅に訪れたようなアットホームな店内で、肉汁あふれるハンバーグを



ラムの300gハンバーグ
肉汁あふれるラムバーグは必食『WINE &DINING Tiaras』

大山町42番地


パークハイアット東京の『ニューヨーク グリル』出身のシェフが、2016年2月にオープンした『WINE &DINING Tiaras(ティアラス)』。

代々木上原の閑静な住宅街の一角に佇む隠れ家的な店だが、高級レストラン級の料理をリーズナブルに味わえると、今注目が集まっている。



ミディアムレアでありながら、熱はなかまでしっかり伝わっている。

スペシャリテは「ラムの300gハンバーグ」。オーストラリア産の新鮮なラムを仕入れ、フランスでよく使われるハーブ・エルブドプロバンスやクミンなどのスパイスで味付け。

ナイフを入れた瞬間、あふれる肉汁とラムの弾力を感じる。ミディアムレアに焼き上げられたラム肉は、ふっくらとしながら、肉の弾力とジューシーさはしっかりと残り、食べ応え充分。

口に入れると、肉汁とともにスパイスの香りが広がり、あとからラム肉の旨みが押し寄せる。初体験の美味しさだ。



プリプリの帆立と海老が絶品の「シーフードセヴィーチェ」

『ニューヨーク グリル』で培った技が冴え渡るメニューとして紹介したいのが「シーフードセヴィーチェ」。セヴィーチェとは、ペルーやメキシコで食べられている魚貝のマリネ。

シェフの西野入氏は、『ニューヨーク グリル』でこの料理に感銘を受け、この店ではオリジナルのセヴィーチェを提供している。

北海道産ホタテとブラックタイガーを使用。軽くボイルしたプリプリ食感のホタテと海老が、アヒ・アマリージョという黄色唐辛子を効かせたスパイシーなソースとよく絡む、酒が進んでしまう逸品だ。



「ティアラス特製 オージーラムのバーガー たっぷり新鮮野菜のサラダ、キャロットラペ」はディナーでも予約の場合、注文可能。
ランチならラムバーガー×ビールが最高

12時〜16時のランチタイムには「ティアラス特製 オージーラムのバーガー」を味わいたい。

通常ハンバーガーというと牛肉のパティだが、ここでもラムが登場。チーズ、ナス、トマト、ルッコラの絶妙なバランスが心地よいハーモニーを生んでくれる。

焼き立てのラムバーガーを提供しているお店は珍しく、なかなか味わえない。ランチなら必ず注文したい品だ!



店内もつい長居してしまう落ち着いた雰囲気。
自家製サングリアを始め、シェフセレクトのワインも豊富

リーズナブルでありながら本格レストラン級の料理を楽しめる同店は、お酒好きをも満足させる!サービスを担当する渡邊氏は、西野入シェフと同様『ニューヨーク グリル』のバーで修業したお酒のスペシャリスト。

おすすめは自家製サングリア。リンゴやオレンジなど果実のおいしさを引き出したオリジナルレシピは赤と白の2種。両方味わってみるのもいいだろう。ソムリエでもある西野入シェフが厳選したワインも豊富。

こんな美味が日常で体験できるという、グルメタウンの懐の深さを感じさせる店だ。


次は、この街を代表する人気寿司店と、その姉妹店をご紹介



「中とろ」。味に深みがあり、脂がさらりと軽い。鮪は脂ではなく、酸味と香りを重視して選ぶ
住宅街ならではの落ち着きと実力を兼ね備えた『すし久遠』

西原3丁目


会員制の寿司店出身であり、名店でも務めた経験を持つ店主の野口智雄さん。

彼が独立するにあたってあえてこの代々木上原の小さな物件を選んだのは、そこに目指す店のスタイルがあったからだ。



上質でシックな店内は、分別がついた大人だけの空間

カウンターわずか9席、自分の目が届く範囲に客席数を絞った。「店をやるなら、満足いただける料理はもちろんのこと、質の高いサービスも必要だと考えました」。この規模でスタッフは常時5名が控えるというから驚かされる。



その時々の旬の美味が味わえるのが鮨の醍醐味だ

『すし久遠』のおまかせコースはつまみ10品、握り10品という構成。つまみと握りが交互に出てくるスタイルだ。これには、寿司だけでなく酒を楽しみながら食べ進めるようにという心意気がある。

酒好きを喜ばせるつまみは、クエの刺身やブリの炙りなど旬の刺身にひと手間かけたものや、手の込んだ海老芋まんじゅうなど、常時20種を用意する。

握りのレベルも、超一流。鮪に関しては脂の多い大トロは扱わず、中トロまでという潔さだ。上品な脂と赤身の美味しさがほどよく調和したところに鮪の真価を見出しているのだ。



日本酒のラインナップも充実

店主自身も日本酒好きとあって、食中酒に向いた味わいのしっかりした日本酒が揃っている。ワインは白のみ2種類だけだが、「好きなものを飲んで欲しい」という想いから持ち込みを歓迎するなど、食通に愛されるのもうなずける。

値段以上の料理ともてなしに、何度でも足を運びたくなる気取りのない隠れ家だ。




かきあげはプリプリの海老の食感がたまらない。 ※メニューは旬に合わせて変化する
鮨の名店が手がけた、隠れ家和食店『割烹 一楓』

上原1丁目


『すし久遠』が初めてプロデュースする和食の『割烹 一楓(いちか)』は、代々木上原でも話題の一軒。

代々木上原駅から徒歩5分と、駅近ではあるが、閑静な住宅街の中にその店はある。まさに「大人の隠れ家」という趣きだ。



揚げの技術がさえわたる天ぷらは、季節ごとに旬を味わいに行きたい

こちらでは、その時に一番おいしい旬の味を、店主の岩崎氏にお任せにして味わうことができる。

中でも天ぷらの技術が素晴らしく、夏には「とうもろこしのかきあげ」が。口にするとさっくりとした揚げ衣と、甘い粒が同時にはじける感覚がたまらない。

お任せのコースなら一品一品をちょうどいいタイミングで供されるので、こちらの会話が途切れることがない。大人のお忍びデートにも、ぴったりの店だ。



お刺身の仕入元は『すし久遠』と同じ。言うまでもなく新鮮で美味!



器も美しく、店のしつらえは粋そのもの


しっとりと美味しい和食を楽しむならこの店!絶品うにいくら丼も魅力な『青』へ



代々木上原というグルメな街の中でもひときわ有名な名酒場だ
気の利いたつまみに合わせて日本酒を愉しむ夜は『青』

西原3丁目


この店を代表する名酒場と言えば、間違いなく『青』になる。

夜な夜な、美味を知り尽くした大人が通う名店だ。午前2時までと、遅い時間まで営業しているのも魅力のひとつ。

1軒目として、たっぷりと料理を味わうのもいいし、2軒目として訪れ、じっくり杯を傾けるのもいいだろう。



味だけでなく価格も魅力の「うに・いくら丼」

数ある逸品の中でも人気なのが、美しく、味も絶品の「うに・いくら丼」。丼いっぱいに敷き詰められたうには、北海道や北方四島から届けられたもの。その上から、醤油と酒に漬け込んだいくらが、贅沢に盛りつけられる。

うにの下に敷かれたキュウリがさっぱりとしたアクセントとなり、食べ進めるほどに幸福を感じられる、魅惑の一品だ。



日本酒が進む「くんせいタラコと新じゃが・花わさびのポテトサラダ」

メニューは旬に合わせて毎月変化する。この日運ばれてきたのは「くんせいタラコと新じゃが・花わさびのポテトサラダ」。

口にした瞬間、華やかな香りが鼻へと駆け抜けていく。花わさびの香りが、いもの甘みを上品に引き立て、燻製されたタラコの切り身が、心地良い一体感を演出してくれる。

フレッシュな日本酒とのマリアージュも最高だ。



日本酒との相性が抜群な「わらびと馬刺の味噌たたきユッケ風」

続いては「わらびと馬刺の味噌たたきユッケ風」。滋味深いワラビと馬刺を味噌で和え、たたきにしたものを、海苔に乗せていただく。

黄味を割った瞬間の溢れるような多幸感は、それだけで食欲をそそられる。控えめに香る味噌は、ワラビと馬刺のうま味をグッと際立たせる。

しっかりとした日本酒をあわせて、ちびちびとつまみながら楽しみたいところ。



右から「鷹来屋 純米・純米吟醸(大分)」、「日郄見 超辛口純米(宮城)」、「長陽福娘 純米吟醸(山口)」

豊富に揃ったお酒にも注目。特に日本酒は、大将をはじめスタッフ全員が試飲し、選び抜かれたものばかり。

なかでもおすすめなのが「鷹来屋 純米(大分)」。辛口でシャープな飲み口は、するすると喉を流れ、いつまでも潤してくれる。他にも、「日郄見 超辛口純米(宮城)」や、「長陽福娘 純米吟醸(山口)」など、全国各地からこだわりの銘酒が並ぶ。

大将との会話を楽しみながら、その日の気分に合ったものを探すのも楽しい。

月が替わるごとに、その時期の旬のつまみを味わいに足を運びたくなる店だ。