頑張りすぎるママが『いい母プレッシャー』に押しつぶされないために心得たい4つのこと

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 NHKの情報番組「あさイチ」で取り上げられ話題となっている“いい母プレッシャー”。

既婚女性に聞いた“結婚してからやめたこと”

ママの9割が「自分はいい母親じゃない」と感じるときがあるという驚きの結果を見て、共働きで2歳の娘を育てている筆者が、ママ達を苦しめるプレッシャーについて考えてみました。

■そもそも“いい母プレッシャー”って何?

「あさイチ」によると、“いい母プレッシャー”を感じるのはアンケートに答えた約1600人の母親のうち、68.4%にもなりました。

意識してみると、育児書などには「怒らない子育て」、ファッション誌では「仕事して輝いているママ」「良き母、良き妻、良き嫁で毎日ご機嫌」というような文言が並び、SNSで飛び交う「“私、がんばってます”アピール」など、知らず知らずのうちに身の周りには「母親」としてプレッシャーを感じずにはいられない情報が溢れています。

“いい母プレッシャー”は、以下のようなカテゴリに分けられるようです。

1)怒ってはいけないプレッシャー
育児書でもよく目にする「怒らない」や「叱らない」で注意する、子供に気付かせるという育て方。感情に任せて怒るのではなく、自分の中で一度整理して子供を冷静に諭す、というもの。ファッション誌で目にする「いつも機嫌のいいワタシ」のような特集も、プレッシャーに感じるママがいるのが現実です。

2)“お母さんなんだから”プレッシャー
母業の大先輩である実母や義母に加え、夫から何気なく言われることも多い「お母さんなんだから…」という言葉。言っている本人は軽い気持ちだと思いますが、これ、結構効きます(泣)。言われている事は筋が通っていたり真っ当な意見だったりすることが多いので、なんだか自分を否定された気持ちになってしまいます。

3)“仕事をしないといけない”または“子供と一緒にいなければいけない”プレッシャー
仕事をしている人は子供と一緒にいられる時間が少ないことに罪悪感を覚え、専業主婦の人は社会と断絶されたような気になったり、仕事をしている母親の方が立派で専業主婦は楽をしていると思われているのではと不安になる。
ないものねだりと言ってしまえばそれまでですが、どちらが子供にとって幸せなのか、見えない答えを追い求めながら、それぞれの家庭の事情との折り合いがつかずに葛藤するママ達も多いようです。

4)“理想の母”像プレッシャー
自分や夫、周囲の人々が思い描く理想の母像と現実のギャップで悩む人も。SNSなどで周りと比べやすい環境にあることも一因でしょうか。思い描く理想像は人それぞれですが、理想を求めすぎるあまり心に余裕がなくなったり、子供や夫につらく当たってしまうことがあっては本末転倒ですね。

■敵は自分自身!? 頑張りすぎるママ、気づかない夫

誰から“いい母プレッシャー”を感じるかとのアンケートには、「自分の価値観」と答える人がなんと54.2%。ママ友や義理&実の親、子供や夫からプレッシャーを感じるという回答が揃って20%前後だったことを考えると、ダントツの結果と言えそうです。

また、夫に「妻が“いい母プレッシャー”を感じていると思うか」というアンケートを実施したところ、「感じていると思う」と答えたのが約23%、さらに妻を“いい母だと思う”と答えたのは約66%になりました。夫は妻を“いい母”として認識しており、また母業の深刻な悩みは抱えていないと思っているようです。

この結果を踏まえると、ママ達は自分で作り上げた理想に追いつけない現状に悩み、夫はそれに気が付いていないという結果になるようです。この結果が夫婦のすれ違いを生み、“残念な夫”現象に拍車をかけているのでしょうか。

実際に子育てを経験して分かったのは、夫には期待しているだけでは全く伝わらないこと、伝えたいことを少しうるさいかな? くらいに言い続けてようやく60%くらい伝わることでした。その甲斐あって夫はできるかぎりのことは進んでやってくれるようになりました。“残念な夫”と切り捨てる前に、伝える努力が大事だということが、数回の大きなケンカを経て学んだことです。

■“理想の母”は雑誌・テレビ・SNSにしかいない

ちなみに筆者は、娘が2歳を過ぎた現在では“いい母プレッシャー”をほとんど感じていません。しかし、娘が生まれたばかりのころは初めての経験ばかりで、オロオロしっぱなしでした。当時は夫に当たってしまうことも多く、この状態がいつまで続くのかと、今覚えばプレッシャーに押しつぶされそうになっていたかもしれません。

しかし、その期間は娘が新生児だった約1カ月間。少しの時間でも一緒に外に出られるようになってからは、いつのまにか見えない不安やプレッシャーは消えてしまいました。「あさイチ」を見ながら我が家に当てはめて考えた時に、プレッシャーを感じない子育てのポイントがいくつかあったので記しておきたいと思います。

・「怒らない」のは、ほぼ不可能

危険な事ややってはいけないこと(食事中に遊ぶなど)をしたらきちんと説明しながら叱る。その際、怒りにまかせて説明を省くことは絶対にしない。さらにあまりイライラしなくて済むよう、ひとつでもおもちゃを片付けたらOKなど、子供に対して叱るハードルを下げました。

・“理想の母”は雑誌やテレビの中にしかいない
「いつも機嫌のいい妻・母」や「キラキラ輝いているワタシ」なんて、作り込まれた架空の世界にしかいないと思っています。片付けたそばからおもちゃで遊びだす子供にイラつくことも、子供の夜泣きがひどくても寝つきが悪くてもぐっすり寝ていられる夫を叩き起こしたくなることも、当たり前のようにあります。それはそれと割り切って、自分の気分を上げること(雑誌を読むやメイクをするなどささいなこと)を見つけるようにしました。ささいなことですが、気分転換でリセットすることは重要です。

・一生懸命仕事をするのは自分勝手ではない
20代前半から編集者として働いていますが、忙しいなりにやりがいもあり、結婚しても子供が生まれても絶対続けていたいと思っていました。幸いなことにほぼ在宅で仕事をさせてもらっていることもあり、他の兼業主婦の方よりいわゆる“罪悪感”はないかもしれません。

しかし、どんな働き方にせよ、自分のため、家族のために働いている姿を子供に見せておくことは大事なことだと信じています。夫の仕事についても、内容はまだ理解できないにせよ毎日「パパお仕事がんばってる?」と聞いてくる娘に「すごくがんばってるよ!」と胸を張って答えるようにしています。

・子供が幸せか、楽しいかが一番大切
怒ってはいけないと思いながら自分の感情を抑え込んだり、理想に近付けなくて焦ったりしていると、子供はその思いを敏感に感じ取っていると思います。多少怒り口調でもいいから伝えたいことを伝え、仕事をしていない時間はたっぷり遊んだりお話をしたりすることで、娘はどこへ出かけても、誰と会っても「よく笑う子だね」と言われるくらい毎日ご機嫌に過ごしているように感じます。

■“理想”が“正解”とは限らない

 “母親”と一括りにしても、働き方や生活パターンは人それぞれ。正解が分からない理想を作り上げて悩むよりも、家族がどうしたら笑顔で過ごせるのか、自分はどんな生活を送りたいのかを考えて、そこに近付いていくための方法を模索しながら過ごすことが大事なのではないでしょうか。

これを言ってしまうと元も子もないのですが、そもそも“親”なら多少のプレッシャーを感じて子育てすることは当たり前。子供が将来幸せに暮らせるように、大きな病気やケガをしないように、日々考えながら過ごすことは、むしろプレッシャーではなく願いに近いような気もします。

“ありのままで”や“オンリーワン”などという言葉が異常に流行るのは、人と比べたり自分の価値観に押しつぶされそうになる実生活で抱え込むストレスの裏返しなのかなと、今回の記事を書きながら少し切なくもなりました。

長々と書いてしまいましたが、筆者は教育学者や専門家でもない普通の母親です。これから幼稚園や小学校にあがるにつれ、また新しいプレッシャーと対面することがあるかもしれません。そんな時には夫や周囲とコミュニケーションをとりつつ、ひとつひとつ問題をクリアしていければいいな、と思います。

“いい母プレッシャー”という言葉を重く捉えず、自分ができることをやりつつストレスフリーで過ごせるのが理想ですね。

参考:女性リアル いい母プレッシャー|NHK あさイチ