――監督とのやり取りで印象深かった出来事はありますか?

梶原:撮影中、監督にドキっとしたことがあったんです(笑)。私がでんでんさんのお店で働くようになるんですけど、そのお店のコスチュームがタンクトップとパンツみたいな短さの短パンなのですね。1月に茨城県の山の中で撮影をした吹越さんと車に乗っているシーンなんですけど、音声さんの関係で暖房が使えなかったんです。みんなが厚着している中で、私だけタンクトップで短パン。車も狭かったので撮影スタッフだけで精一杯で、衣装さんが来てくれないのに、ジャンパーを忘れてしまって、ずっと寒かったんですよ。でも監督が、すごく暖かそうなダウンジャケットを脱いで、「これ着ろ」ってかけてくれて、ちょっとドキっとしました(笑)。監督、やっぱり優しいんだって思いましたね。すごくジェントルマンなんですよ。

――撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

梶原:周りがベテランの俳優さん、スタッフさんだったので、すごい緊張感もあり、でも安心感もあって、すごく寄り掛かりながら撮影できました。本当は寄り掛かっちゃいけないんですけど(笑)。

――黒沢さんから、梶原さんと神楽坂さんがすごく現場で仲良くしていたというお話を伺いました。それを黒沢さんは陰から“愛子”の様にほくそ笑んで見ていたそうですが、本当ですか?

梶原:そうなんですか(笑)。監督からすごく“特訓”されたのですけど、神楽坂さんとは、特訓の日にちが一日被ったからだと思います。お互いすごく大変な思いをしたので、傷の舐め合いじゃないですけど、すごく分かち合えるものがあったんですよ。それに、以前住んでいたところと、神楽坂さんの家がすごく近くて、50メートル先ぐらいの距離ということが発覚したんですよ。それで地元トークで盛り上がりました。それにお互いの色々な恋愛事情も話しました。黒沢さんは結婚なさっているので。でも、黒沢さんの10代とか20代の頃の“武勇伝”とかも聞きました(笑)。夜中まで続いた撮影の時は、黒沢さんとも三人でガールズトークをしていたんですけどね。大人な2人に囲まれて、こういう女性になりたいなぁと思いました。すごく強くて、男なんかに負けないみたいな。そんな2人だったので勉強になりました。

――劇中では仲の良かった神楽坂さんを蹴るシーンもありましたが、どんな気持ちでしたか?

梶原:もう「ごめんなさい!」って感じでしたね。二人共、アクションは初めてだったので、アクションアドバイザーの坂口さんに、「こうして、ああして!もっとここでこう!」みたいに言われて、二人で「はい!」「はい!」と言いながら、リハーサルの時から四苦八苦でした。でも、すごく限界の状態で本番に臨めたので、その圧迫感と言うか、切羽詰まった感じが映像にも出ているんじゃないかなと思います。

――あのシーンは、やはり痛いのでしょうか?

梶原:お互いあざができましたね。私は殴るだけだったんですけど、ひざまずくシーンがあってガンガンいっていたら、次の日、あざだらけで足を擦りながら現場に行ったことがありました(笑)。神楽坂さんは、勿論、青あざがあって本当に「すいません!」って思いました。そのシーンを撮ったのが撮影の2日目だったんですけど…。

――2日目ですか!?

梶原:二人とも2日目から青あざでした。神楽坂さんは、素足のシーンが多いので、メイクで消してもらいながら撮影しました。すごい撮影でしたね。

――梶原さんと美津子、共通点があるとしたらどの部分でしょうか?

梶原:寂しがり屋のところがそっくりですね。でも、その寂しがり屋度のアピールの仕方が違います。美津子は周りに気付いて欲しくて“反発”という表現をします。でも、私は、口に出して構って欲しいアピールをすごくします。面倒くさいタイプなんですけど(笑)。でも構って欲しいと思うところは似ているなって思いましたね。