――この映画のテーマの一つである“死”と“暴力”について考えたことはありますか?

梶原:私は、お父さん側もお母さん側もお爺ちゃん、お婆ちゃんが共に元気で、まだ身内を亡くしたことがありません。暴力もされたことがないから、全く想像もしてなかったことです。でも、今回の作品の“死”は重くも軽くもある。“死”というものは、普通は重いはずなのですけれど、村田から見たら全然重くない。一つの死に対して、人それぞれで価値観に違いがあって不思議だなと思いました。まあ、村田さんはだいぶ異常ですけど。なんか人の見方って怖いなあって思いました。

――リレーインタビューと言うことで、黒沢さんから質問のリクエストを頂いています。「ご両親にこんなことをして困らせたということはありますか?」という質問なのですが、いかがでしょうか?

梶原:絶対に忘れないエピソードがあります。幼稚園生の時ですが、(幼児なので)電車の運賃が掛からないのに、どうしても切符を入れたかったことがありました。でも、お母さんは「あなたは、まだ切符を買えない歳だから駄目よ」って言って買ってくれませんでした。その時に流行っていたキャラメルに動物カードというおまけが入っていたんですね。そのシロクマのカードを切符の代わりになるかと思って、改札に入れた瞬間、「グォーン、グワァアーン」みたいな聞いた事もないような雑音が起こったんです。駅員さんが走ってきて、改札機を開けたらもうぐちゃぐちゃになったシロクマのカードが挟まっていて…。それで、お母さんと一緒に連れて行かれて平謝りしました。その後、二度とキャラメルは買ってもらえませんでした(大笑)。

――結構、やんちゃだったのですね(笑)

梶原:やんちゃでしたね。これが小さい頃にした一番の失態だと思います。

――最後に、これから映画をご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。

梶原:見所が本当に全部で、約2時間半、瞬きするのも惜しい作品なので、発信しているメッセージを120%の力で受け取って欲しいなと思います。この映画の内容は、落ちていくことばかりですけど、逆にもっとちゃんと生きようと思えて、気持ちは落ちないと思います。ガツンと喝を入れてくれるので、疲れた時とかどうしようもない時に、ぜひ観て欲しいです。

 映画『冷たい熱帯魚』のリレーインタビュー第2回目。梶原ひかりは、劇中の美津子とは全く異なり、よく笑い、そして天真爛漫な女性だった。このインタビューの内容の様な明るい女性が、女優としてカメラの前に立った時にどのように変わるのか映画を観て確認して欲しい。次回はいよいよリレーインタビュー最終回。この映画で最も過激なシーンを演じた「神楽坂恵」の素顔に迫る。梶原ひかりから神楽坂恵へ渡された質問は「旦那さんに求める一番の条件は?」「素敵なボディを保つ秘訣は?」の二つ。神楽坂恵のインタビューは、1月27日にlivedoorニュースで掲載する。

園子温監督作品「冷たい熱帯魚」公式サイト