山田孝之、成海璃子、玉山鉄二(撮影:野原誠治)
 周囲を山に囲まれ、そのホテルの名は"シーサイドモーテル"。それぞれの部屋でワケありの男女11人が、4つの部屋で巧妙な騙し合いと駆け引きを繰り広げるアンサンブルストーリー。借金を踏み倒すギャンブラーと猫好きな恋人の部屋に、チンピラ達がやってきて--。彼らの"人生を賭けた騙し合い"とは? 今回は、202号室に登場する山田孝之、玉山鉄二、成海璃子の3名に映画の見所や撮影の雰囲気などを聞いた。

――作品を拝見させていただいて、それぞれとでも個性的なキャラクターを演じられていましたが、ご自分の役への印象を教えてください。

玉山:僕は、いつもチー坊(柄本時生演じる、キャラクター)と2人の芝居が多くて、その関係性を、漫画っぽい感じにしたかったのはありますね。僕のイメージの中では、「Dr.スランプ」に出てくる"ニコちゃん大王とその家来"なんですよ。俺は彼に暴力も振るうし、言葉でもいじる。彼は彼で完璧に俺を先輩として慕ってない感じ。そんな雰囲気を大切にしました。とにかく、すごくスケールの小さい男を目指しました。

成海:私は、ずっと縛られて目の前の出来事を見ている役だったので「う…。喋りたい!」となっていましたね。あと、温水さんが1日しかスケジュールが無くて、温水さんとのシーンは1日で撮ったので、それがすごくハードで、ぐったりしました。

――ガムテープでぐるぐる巻きにされるシーンも大変そうでしたね。

山田:痛くなかった? 見てて、ずっと腰痛そうだなと思ってたよ。

玉山:俺にも、何回もガムテープ剥がされるしね(笑)。

成海:撮影では優しくやってもらいましたので、大丈夫です(笑)。

――山田さんは、借金取りに追われているだけあって、血走った目が印象的でした。どうやって役作りをなさったんですか?

山田:目を充血させるのはよくやります。ガーって目を触るんですよ。そしたらすぐ赤くなるんです。演じる上では、適当な人だから本心が見えないようにと思って演じました。とにかくうざい奴になりきって、観ている人が「何なんだコイツは」「何を考えてんだ?」「何が言いたいんだ?」という風にイライラさせたいなと。

――映画「イキガミ」では、山田さんと成海さんは兄妹役、「手紙」では、山田さんと玉山さんが兄弟を演じられていましたね。久しぶりの共演はいかがでしたか?

成海:玉山さんとは、今回初めてだったんですけど、柄本時生君とも兄弟役を演じた事があって、温水さんとも援助交際をする役をやった事があったので、知ってる方々ばかりで楽しかったです。ある意味、心地よい緊張感がありましたね。でも、ずっと5人で日活撮影所にいたので、最後はすごく楽しかったです。

山田:「手紙」も「イキガミ」もどちらも結構感動的な話でしたが、今回は、ちょっと笑わせるし、僕が2人を裏切る役ですから、この作品を見た時に、両作品を見てくれた人達が、逆に、「何だ、この作品を見なきゃ良かった」と思うくらいの差が出れば面白いなと思いました。

玉山:僕は、「手紙」以来、普段から孝之とは遊びに行ったり、飲みに行ったりとかする機会がすごく多くて。それを踏まえて、今回の「シーサイドモーテル」の現場だったので、ちょっと恥ずかしい気持ちはありました。

――例えばどのシーンが恥ずかしかった?

玉山:やっぱり、抱き合う所ね。

山田:そうだね、お互いマジじゃん(笑)。

――逆に、仲が良いからこそ、やりやすかった所は?

玉山:カメラが回ってない所で、演出について「こうしようか、ああしようか」という点は、話しやすかったです。普段だったら、相手に芝居を求めちゃいけないのがあるとは思うので、結構、遠まわしに話していた事を、直で言えるので楽でしたね。

山田:お互い幼馴染という設定もあって、緊迫感もありつつ普段から遊んだりしているからこそ、切羽詰まっていても出せる空気感というのがあったのだろうと思います。ぱっと「初めまして」と会って、撮影初日であのシーンを演じていたら、やはりある程度気を使ってしまうから、ベストな空気感が出せなかったと思うので。