今回の【ドラマの女王】は、もう毎週書いてる仲間由紀恵、加瀬亮主演のフジテレビ木曜劇場『ありふれた奇跡』。もはやS?と言いたくなるほど、ボロクソに言われてしまう翔太。いつもみたいに“お釈迦様”でない八千草薫、「川口ジャスコ」と言わない陣内孝則とどれをとってもスッキリしないキャストにイラつきながらも、進展しないドラマ展開を見続けるのはもはや拷問。おなじみ山田センセイが、「上から目線」でどんどん弱者を作り出しているのだ。


あいかわらず地味な左官工の翔太と、料理の先生(正確に言うと外国製のレンジの使い方をデモストレーションする人)の加奈との関係はこじれまくっている。

加奈の家族にうっかり「子供はいらない」と口走ってしまう翔太。
それがきっかけで加奈の父が翔太の家に殴り込んだ一件があり、翔太がまた加奈の家を訪ねる。その時、翔太が借金を負った事や、自殺した事、うつ病だった過去が、加奈の父の口から明らかに。さらに、本心を語りに来た翔太本人の“人格”を否定する「言葉攻め」を浴びせ倒す中城家は一家そろって“ドS”だ。

さすがにションボリする翔太。先週は、祖父四郎(井川比佐志)から金を託された先輩職人の神戸(松重豊)と古くさいキャバレーでホステスに抱きつくサービスショット(?)も見せてくれた加瀬亮。相変わらず乾いている。

そして山田センセイの弱者の“あぶり出し”は続いている。

モテない職人=弱者、子供が産めない女=弱者、自殺経験あり=弱者、母親からのネグレクト=弱者、に加え、今週は「200万円の借金をかかえた男」と、「うつで通院する男」が“弱者”の仲間入りをした。次週は、「精子の無い男」も弱者入りする予定だ。

『ふぞろいの林檎たち』の時は、自分が若かったからあまり気が付かなかったが、山田太一のドラマには弱者が必ず出くるらしい。そして、そろそろ自分の人生の「負け」に気づいた人たちが、弱者に自分を重ねたり、自分より弱い立場の人を見て心を暖めるというか、「傷を舐めあって」いく。山田太一のドラマが“心にヒット”した日には、「ああ大人になったんだ。」と思うしか無い。

「子供が産めない身体!!」を何度も連呼されて、アラフォーの記者も心がちくちくと痛い。ある年配者には「孫が抱きたい!!」が効くかもしれないし、リストラにあった人などには、「おちこぼれ!!」のセリフがカミソリ刃のように痛いのかもしれない。
もはや、どのセリフで自分が傷つくか分からない“ロシアン・ルーレット”のような『ありふれた奇跡』。これを見届けるのは修行の一種だ。

「自らの中絶のせい」で子供ができない事を悲観しながらも、「子供がほしいから結婚できない」という意味不明な怒りを、「子供ができなくても貰ってあげる。」という翔太にぶつける加奈。もう、何がなんだか分からない。

で、あいかわらず30過ぎてるのにウブで加奈に手を出さない草食男子の翔太は、もしかして童貞なのかと疑う。
山田センセイとどめの“弱者”が「童貞男」だったらなんだか悲しい。
その設定だけはやめてくれ。

今までの翔太のセリフから「学生時代に付き合った女子」がいた事は判明している。ぜひ彼女と“最後”までいった事をどこかのセリフに織り交ぜてほしい。でないと、安心して『ありふれた奇跡』を見続ける事ができないではないか。

(編集部:クリスタルたまき)
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