日テレNEWS NNN

写真拡大 (全11枚)

およそ18年半にわたる連載が終了した漫画「宇宙兄弟」。宇宙飛行士になった兄弟を描いた人気漫画ですが、この漫画を、文字通り「宇宙で描く」という壮大なプロジェクトを取材しました。

■「宇宙で漫画を描く」仕組みは

訪ねたのはJAXAの筑波宇宙センター。その中にある部屋で、宇宙で漫画を描くための指示が送られていました。

宇宙で漫画を描く」というこのプロジェクト。

地上から指示を送る先は、ISSにある日本の実験棟「きぼう」。そこに設置されているロボットアームを動かすためのプログラムと、もととなる漫画の情報を地球から送ることで、宇宙で漫画を描くことができる仕組みです。

その題材となったのは、宇宙を舞台にした漫画「宇宙兄弟」。

幼いころに宇宙に憧れた兄・六太と弟の日々人が、宇宙飛行士になるという夢に挑む姿を描いた物語で、およそ18年半にもわたる連載が終了した人気コミックです。

宇宙兄弟作者「ある意味ロボットアームに対する挑戦」

描かれていたシーンは、今回のために作者の小山宙哉さんが書き下ろしたオリジナルストーリーなのです。

――何を描いてもらうか、どういったチョイスだった?

小山宙哉さん
「スピンオフというか、おまけ漫画的な軽いノリのほうがいいかなと。“初挑戦”ということもあって、ロボットアームで描くのが」

兄の六太が宇宙に漂流したときに何をしていたのかが明かされる、連載には描かれていない“特別な”シーン。さらに…

小山宙哉さん
「普段はもっと細い線で漫画を描くので、それを太いペンで描く、太いペンでできる限り細く描いた。ある意味、ロボットアームに対する挑戦」

■「宇宙での過酷な環境…実は新しいことへの場所」

一筆ずつゆっくりと描くと、ロボットアームは上下左右に移動しながら、このページは40分ほどで仕上げました。

完成したものを小山さんが描いた絵と見比べてみると、輪郭の曲線なども原画に近い描写となっています。

――宇宙で挑戦すること、どういった魅力がある?

小山宙哉さん
宇宙での過酷な環境というのが、実は新しいことへの場所。それを生み出す場所なんだな。漫画を描くという、宇宙でやる意味があるのかと、最初は思われるかもしれないけど、それを再現できる技術をつけていく、それを開発していくことに意味がある」

■「宇宙で動くだろうと思うけど…」難しさも

今回のプロジェクトは、JAXAがこれまで培ってきた宇宙技術やノウハウを民間企業が利用できる制度を使い、構想から2年以上で実現しました。

――表情1つ、すごく細かいタッチまで指示を出してしっかり描くことができる

スペースエントリー 後藤孝之さん
「元データも相当、細かく絵を描かれていて、時間内にいかに収めるかというところも含めて、私たちエンジニアチームが頑張ったところ」

挑戦を可能にしたのが、宇宙探査などのために技術実験を行うJAXAのロボットアーム実証設備「TUSK」です。宇宙空間だからこその難しさもあるといいます。

JAXA 有人宇宙技術部門 TUSK開発責任者・内川英明さん
「地上で動けば宇宙で動くだろうと思うけど、(地上では)重力に依存しているところが結構ある」

宇宙技術の新たな可能性を切り開く一歩に

その上でJAXAが目指すのは…

JAXA 有人宇宙技術部門 TUSK開発責任者・内川英明さん
「自動で動くので非常に精度よく、例えば100回、1000回同じことを繰り返してと、そういうことができるとか。自動化を進めることで、宇宙飛行士の限られた貴重な時間をどう使っていくか」

宇宙飛行士の負担を減らすため、人の手の代わりに地上から遠隔で作業したり、作業を自動化したりすることが可能だといいます。

そんなロボットアームで繊細な漫画を描くという“人類初の挑戦”。宇宙技術の新たな可能性を切り開く一歩となることが、期待されます。

(8月5日放送『news zero』より)