【W杯】開催国に新たな1ページ カナダが多文化共生の“絆”で初16強「この勝利をささげたい」
◇W杯北中米大会決勝トーナメント1回戦 カナダ1―0南アフリカ(2026年6月28日 ロサンゼルス競技場)
32チームによるFIFAワールドカップ(W杯)北中米大会決勝トーナメント1回戦が28日に始まり、1次リーグB組2位の開催国カナダがA組2位の南アフリカに1―0で競り勝ち、2回戦に進出した。3度目の出場で初めて進出した決勝トーナメントで16強に一番乗り。後半追加タイムにスティーブン・エウスタキオ(29=ポルト)のゴールで均衡を破った。
開催国のカナダが新たな歴史の一ページを開いた。後半追加タイムにMFエウスタキオが劇的弾を決め、初の1次リーグ突破に続いて16強進出を決めた。
思いを乗せた一振りだった。右サイドのクロスから相手のクリアボールを胸でコントロールすると、右足を一閃(いっせん)。「自分がシュートを放った時、全員が一緒に蹴ってくれた感覚があった。みんなが少しずつ力を込めてくれた」。ネットが揺れると、真っ赤に染まったスタジアムは総立ちとなった。
多文化共生のモザイク社会で、他者を認め合うお国柄を表す言葉には一体感がにじんだ。それぞれ背景も多様だ。エウスタキオはポルトガル人の両親を持ち、同国の年代別代表も経験した。主将のデービスは、難民キャンプでリベリア人の両親の下に生まれた。J・デービッドはニューヨークでハイチ人の両親の下に生まれ、6歳の頃にカナダに移住した。出自は異なれど、エウスタキオは互いを認め合い「兄弟のような絆で、お互いのために戦っている」と言う。この国民性が彼らの原動力で、一体感を生み出す秘訣(ひけつ)だろう。
3度目の出場で、共催の米国、メキシコより実績では劣る。トロント、モントリオール、バンクーバーの3チームが米プロリーグMLSに加盟しているが、19年に発足した国内プロリーグは発展途上の段階だ。
それでも、また一つ足跡を残した。歓喜の輪をつくった選手たちに、米国人のマーシュ監督は高らかに「君たちはカナダのヒーローだ」と告げた。殊勲のエウスタキオは「全てのカナダ国民に、この勝利をささげたい」と胸を張った。

