AI業界の話題が細分化するにつれ、株式市場で注目される企業もより具体的な領域へと絞り込まれてきている。実業家のマイキー佐野氏は、データセンターを支えるネットワーク機器ベンダーとして、Cisco、Arista Networks、Hewlett Packard Enterprise(HPE)の3社に着目すべき理由と、それぞれの戦略の違いを論じた。これまで同氏がHBMやSSD、ASIC開発などを順に取り上げてきたAI業界解説の、最新の続編にあたる。
 
AIの学習処理を担うネットワーク規格には、大きく2つの流れがある。NVIDIAが主導するクローズドな高速規格と、世界標準として長年普及してきたオープンな規格だ。後者は地球上のネットワークの9割以上で使われており、コストと互換性の面で圧倒的な優位を持つ。かつては両者の処理速度に大きな差があったが、近年その差は急速に縮まっており、どちらが主流となるかがこの3社の将来を直接左右する構図になっている。
 
3社はそれぞれ異なるアプローチで市場に挑む。全製品を自社で完結させる垂直統合型、最良の部品を外部から調達しソフトウェアの品質に徹底特化する型、スーパーコンピューターの技術基盤を活かした総合力型と、戦略の方向はまったく異なる。強みの角度が違うだけに、競争環境の変化次第で各社の優劣が入れ替わる可能性も十分にある。3社それぞれが抱える懸念点についても、佐野氏は冷静な視点で整理している。
 
さらに佐野氏が指摘するのは、NVIDIAがオープン規格の市場へと本格参入を始めているという事実だ。自社GPUとネットワーク製品を組み合わせることで処理能力に大きな差が生まれると主張し、「GPUを最大限に活かしたいならうちのネットワークを使え」という圧力が3社に対して静かにかかり始めている。
 
3社はNVIDIAとライバルでありながら、GPUなしではAIインフラが成立しないという現実の中で協調も余儀なくされている。この複雑な力学の中で、各社がどのような差別化を打ち出し、どこへ向かおうとしているのか。AI時代のネットワーク覇権争いの全体像が、佐野氏の視点を通じて鮮明に浮かび上がる。

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現在はアカデミズム関係者・経営者・投資家・学生が参加するビジネススクールも運営