政府が「食料品消費税1%」検討も効果薄?一方でOECDは「最大18%」提言…日本の税制が目指すべき着地点は

議論が進む「食料品の消費減税」について、政府は8%から1%に引き下げ、来年4月から2年間実施する案を軸に検討に入ったという。
高市早苗総理は2月の衆院選で「0%にする」と公約に掲げていたが、複数の政府関係者によると、0%にする場合、レジの改修に時間がかかることや、世論調査で「早く実施できるなら1%でもいい」との声が広がっていることが背景にあるようだ。
一方でOECD(経済協力開発機構)のコーマン事務総長は、日本の消費税率がOECD加盟国内で最低水準にあると指摘し、「時間をかけて税率を上げていくことが必要だ」と発言。報告書では、日本の財政健全化に向け、消費税率を毎年1%ずつ、最大18%まで引き上げる提言もされている。
日本が今すべきなのは、消費減税なのか、増税なのか。『ABEMA Prime』では、日本経済に必要な政策を考えた。
■「消費税減税の効果は疑わしい」

財政学が専門で、財務省の審議会で委員も務める一橋大学の佐藤主光教授は、「物価高対策としては、消費税減税の効果は疑わしい。今われわれはインフレの状況だ。『デフレで消費税率を上げると、物価が上がった。税率を下げれば、物価は下がる』と考えているかもしれないが、物価全体が上昇基調にある中、食料品の税率を7%下げたとしても、そのまま価格が7%下がるとは限らない。海外ではリーマンショックやコロナ禍に、期間・対象限定で付加価値税の減税をやったが、効果は一時的か限定的になりやすかった」と語る。
自民党税制調査会・副会長の浅尾慶一郎衆院議員は、「一番使うのが食料品のため、期間限定で0%にしようとした。一方で、最低限の暮らしの中で、食料品だけが本当に使われているのか」と問う。「カナダの売上税では、食料品や洋服など生活に最低限必要な物について、所得にかかわらず戻す。控除できる人は税金から控除する。収入が少なく控除しきれない、本当に困っている人には、給付付き税額控除を行う」。
佐藤氏は「本丸が給付付き税額控除であることは間違いない。理論的には一番公平な仕組みだが、実行するには、所得の捕捉や、税額控除と給付を一体化させる仕組み作りが必要だ。その間のつなぎとして何かしらの措置をするのは分かるが、消費税減税は多くの事業者を巻き込む。レジ改修の話題ばかりだが、消費税は小売だけでなく、あらゆる商取引にかかっている」と、導入する上での障壁を示す。
■「日本人は真面目だから、おそらく1回は価格を下げる」
減税の実現後は、どんな流れが予想されるか。佐藤氏は「日本人は真面目だから、おそらく1回は価格を下げるだろう。ただエネルギー価格も高騰し、仕入れも資材も上がっている。経営判断として、一定額の売り上げを確保したいと考えるだろう」と推測する。
また、「価格が日々上がっていくのは自然だ。消費税率は一度下がればそれだけだが、インフレ率は毎年上がる。108円だった物が、いったん101円になっても、数年後には108円を超える。効果はあっても一時的だ」とも話す。
これに浅尾氏は「スーパーが100円で水を仕入れるとき、水だけなら消費税がかかっていないかもしれないが、ペットボトルには消費税がかかる。その分は載せられないため回収できない。食料品を税率ゼロにすれば、自分が払った消費税は還付される。そうすれば、コストがかかっていないから、確実に下がる」と返した。
「減税にあわせて値上げするのでは」といった見方もある。佐藤氏は「海外では『半分程度しか消費者に還元されない』『一度は値下げしたがまた戻った』といったことが実際に起きた。事業者側にとって、税金はコストの一部でしかなく、他のコストが上がれば、価格に載せるのは当たり前だ。それはずるいことではなく、正常な経営判断としてやっている」と説明する。
■OECDが提言した「消費税18%」
OECDが提言した「消費税18%」については、「国際的に見れば高くない。ヨーロッパでは軒並み20%。軽減税率で食料品が0〜5%の国もあるが、標準税額としては普通に存在する。ただOECDは別に『明日上げろ』と言っているわけではない」とする。
目下の課題としては「物価高対策をしないといけない。中東情勢もあり、経済状況が不透明の中、増税は時期尚早。ただ中長期的に見ると、高齢化で社会保障費が増えていき、財源の問題がある。もし消費税でまかなわなければ、社会保険料に跳ね返ってくるが、これは現役世代に一番重い負担だ」という。
では、どう対処すればいいのか。佐藤氏は「まずは、医療や介護、年金などの給付適正化。ちゃんと抑えれば、全体の財源も抑えられる。成長戦略もやるべきだ。成長を促せば賃金が上がり、消費も増えるため、増税せずとも財源を確保できる」と、必要な施策を上げる。「それでも足りないときに、消費税にするか、社会保険料にするか。負担の公平性や、雇用への影響を考えると、消費税が先になるだろう」。
(『ABEMA Prime』より)
