公正取引委員会

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 公正取引委員会は、生成AI(人工知能)の関連市場について実態調査に乗り出す方針を固めた。

 生成AIを巡っては米巨大IT企業などが開発に必要なデータや半導体、人材などの資源を囲い込む動きを強めており、国内企業への影響を懸念する声がある。独占禁止法上の問題を早期に把握し、健全な市場競争を促す狙いがある。

 生成AIを巡る競争上の論点を示した資料を近く公表し、市場の実態について広く情報提供を求めるとともに、国内外の企業や有識者への聞き取り調査を進める。市場の変化が速いため、調査結果は必要に応じて随時、公表するという。

 生成AIの開発には、学習に使うデータや、データを処理する半導体とコンピューター、高度な人材が不可欠とされるが、こうした開発資源はグーグルやマイクロソフト、メタといった米巨大ITに集中しているとされる。AI関連の半導体では、米エヌビディアが9割のシェア(占有率)を持つとのデータもある。

 具体的な調査対象について、公取委は、強い立場にある大手企業が半導体やデータなどの利用を制限して新規参入の機会を失わせる「利用制限」や、提携などの手法で新興企業の優秀な人材を自社に移籍させるといった「人材の囲い込み」を挙げる。生成AIサービスを提供する企業が、生成の結果で自社の商品やサービスを多く出現させる「自社優遇」なども調べる。

 生成AI市場を巡っては、海外の独禁当局も監視を強めている。米国、欧州連合(EU)などの当局は7月、競争上のリスクに協調して対処するとの共同声明を出した。