ジェームズ・キャメロン、広島・長崎の原爆投下がテーマの映画製作へ ─ 二重被曝者の山口彊さんを描く「私がやらなくてはいけない」

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『タイタニック』(1997)や『ターミネーター』『アバター』シリーズなどの巨匠ジェームズ・キャメロンが、広島の原爆投下を題材とする映画を製作予定であることが分かった。米などが報じた。

キャメロンはチャールズ・ペレグリーノによる2025年秋米刊行予定の新書『Ghost of Hiroshima』映像化権利を新たに獲得。もともとキャメロンは、ペレグリーノによる2010年の書籍『The Last Train from Hiroshima : The Survivors Look Back』の映画化に。

この度明らかになったところによると、キャメロンは『Ghost of Hiroshima』と『The Last Train from Hiroshima』の二冊を合わせた内容を映画化する。映画のタイトルは『The Last Train from Hiroshima』とされる。

書影

『The Last Train from Hiroshima』は、広島と長崎で2度被爆した「二重被曝者」である山口彊(やまぐち つとむ)氏に焦点を当てた内容で、原爆投下時の凄惨さを描く。キャメロンは『アバター』(2009)プロモーション来日時に山口氏の元を訪問しており、この映画化の構想を進めていた。しかしながら山口氏が2010年に他界されたこと(キャメロン訪問の10日後に亡くなった)、およびキャメロンがその後『アリータ:バトル・エンジェル』(2009)や『アバター』続編などに従事する運びとなったことで、企画は長らく棚上げ状態になっていた。

Deadlineに対してキャメロンは、「この題材は何年も前から映画化したいと思っていたが、どうやるべきかずっと悩んでいました」と語っている。「私は、広島と長崎の両方を生き延びた山口彊さんと、彼が亡くなられる数日前にお会いしています。彼は病院にいらっしゃいました。彼は、彼の物語のバトンを、我々に渡していただいていたのです。だから、私がやらなくてはいけない。目を背けるわけにはいけない」。

現在70歳のキャメロンは『アバター』シリーズが継続中で、2031年12月に公開予定の『アバター5』まで自身で監督または製作を手掛けたいとほか、『ターミネーター』シリーズ新作も仄めかしている。多忙を極めるキャメロンはこの原爆題材の映画について、『アバター』の製作が落ち着いたいずれかのタイミングで撮影を行うという。

キャメロンは『ターミネーター』シリーズでも核爆弾を大きな題材としており、『アバター』シリーズでも環境保全を訴えるなど、物語の中で人類社会に警鐘を鳴らしている。この映画では、山口氏の「独自で悲惨な経験を後世に伝える」との誓いを立てた。

書籍『The Last Train from Hiroshima』はアメリカ社会に原爆の恐ろしさを伝えるノンフィクション本として話題になった一方、事実と異なる点が含まれているとして議論を招き、2015年には新装改訂版が米発売された。同作者による新書『Ghost of Hiroshima』米発売の2025年は、広島・長崎への原爆投下から80年の節目にあたる。

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