9月14日、自民党総裁選に立候補した9人は、日本記者クラブ主催の討論会に臨んだ。

 この討論会での、小泉進次郎元環境相のある発言について、X上では発言の一部を切り取ったデマが拡散している。

「記者から『中国の訪問のご経験はございますか?』と質問が飛んだ際に、小泉氏が『台湾には行ったことがある』とだけ答え、それ以上は言及しなかったというデマです。これを信じて『台湾中国の一部だと思っているのか』『新しい構文』といった、勘違いの批判が続出しています」(政治担当記者)

 だが、実際に小泉氏が討論会での質疑応答は、こうだった。

――小泉さん、どっちかというとアメリカのイメージがすごく強いんですが、中国の訪問のご経験っていうのはございますか? 過去、どうでしょう?

台湾は多くありますね。自民党青年局長のときに、自民党青年局は基本的に台湾との窓口をやってましたから。中国には当時、私の父が総理で2001年から務めていて、そのときに靖国参拝、こういったことでたいへんなこともありました。で、そういった後になかなかですね、行くリスクが高いと。

 これは何を言わんとしているかは、ジャーナリストのみなさんだからわかると思いますが、そういったリスクをいろんなことを鑑みたときに、あまりそのリスクを取ることは賢明ではないだろうと。そういった形で、私は台湾には行ったことあります。中国にはありません」

 しっかり「中国にはありません」と明言していたが、インターネット上では、その部分が無視された内容が拡散され、反対に小泉氏を“中国依存”と批判する声も出る事態に。

 この騒動を通じ、小泉氏を称賛する声や、デマ騒動を批判する声がXにあがっている。

中国にチクリいうなら、逆にあの言い方は優秀》

《ん?どこがおかしいの? 普通に、中国に行ったことはない、台湾はあるけど、というのは、親台湾的な発言ですよ。台湾中国ではないと認識しているということなので》

《あのー。最後まで聴きました?台湾には行ったことはありますが、中国には行ったことはありません、と言っていますよ》

 前出・政治担当記者はこう話す。

「小泉氏は青年局長時代、台湾との窓口をやっていたため、多く行っていると話し、中国への訪問はリスクが高いと発言しているわけですから、どう切り取っても台湾中国の一部だという趣旨の発言はしておらず、またそう思ってもいません。あまりにも意図的な“改悪”です。

 ただ、それをなんの疑いもなく、信じ込んでしまう人が多いのは、これまで“進次郎構文”などと揶揄されてきた、独特の言い回しのマイナスイメージが強いためでしょう。総裁選でリードしているといわれる小泉氏ですが、その点の払拭が最大の課題かもしれません」

 いくら“天然”のイメージが強くても、それがデマとなっては大問題だ。