――再生数を伸ばすための戦略はありますか?

アカボシ:最初に見栄えの良いブタからたべて、ヤサイを食べて、ようやく麺に到達するようにしています。ブタを最初に食べたほうが動画の見栄えとして「シズル感」が出て、食欲をかきたてて再生数が伸びます。一方で、個人的には大好きなのですが汁なし系、まぜそば系は見た目のインパクトが出ないのと、混ぜると見た目が美味しそうに見えないので再生数は伸びにくいです。人気のラーメン店でもまぜそば系をあまり登場できないのはそういう理由です。あとは最近の傾向として知名度がない店はなぜか伸びないです。直系二郎は伸びやすいので、それを軸にあまり有名でない二郎系の名店をはさむ形で、なるべくどの動画も観てもらえるように投稿しています。

――直系二郎の店は撮影NGの店が多いような気がするのですが撮影できるのですね。

アカボシ:あくまで聞いた話で真偽はわかりませんが、当初はほとんどの二郎で撮影が大丈夫だったみたいです。でも、ある店舗で無断撮影した人がいて、そこから動画NGが波及していったそうです。マシマシにしてほとんど残すみたいなマナーの悪い人も増えてきたのもきっかけのひとつです。一時は全面禁止にしようという流れがあったようですが、いまでは個別に相談して撮らせていただける店舗もあります。

◆反応があるだけで嬉しいからコメントはすべて見る

――コメントはちゃんと読んでいるんですか?

アカボシ:次の動画が上がるまでのコメントは全て読んで、なかには返事することもあります。芸人時代はSNSで何を書いてもリプライやコメントがなかったので、反応があるだけで嬉しいんです。中にはアンチコメントもあって、僕個人に向けられたものはまったく気になりませんが、お客さんやお店の悪口を言われると注意しますね。コメント欄でバトルするとインプレッションが上がるというのはありますが、どうしても許せないときは、戦わずに消したりします。

――最近はアカボシさん以外にも二郎系ラーメンをYouTubeに投稿する方をよく見かける気がします。流行っているのでしょうか?

アカボシ:やはり、見た目のインパクトとSNSとの相性は抜群だと思うので、「やってみよう」とする人たちが増えてきたのだと思います。

 ただ、最近はヤサイも、ブタも仕入れ値が高くなってきて経営が厳しくなっている店も多いそうです。今までヤサイはモヤシなどでほぼ原価がかからず提供しできていたのですが、最近はそれらの値段も上がってきて、無料でマシにするのが難しくなってきていると思います。そんな状況でも、マシマシにするととんでもない量を提供してくれる「麺や 豚髭」(埼玉県川口市)というお店があるのですが、食い切れるかが怖くてまだ行けてないんですよ。

◆クオリティで勝負するお店が増えた

――ここ数年の二郎系ラーメンの流れで変わったことってありましたか?

アカボシ:仕入れ値が上がったことで安さで勝負するのではなく、価格をあげてでもクオリティの高いものを提供しようとする店が増えてきたのは感じます。例をあげるとラーメン二郎T店はブタの質がかなり高いです。知り合いの肉屋の人と一緒に食べに行ったのですが、「かなり希少な豚の部位を使っているね」と言っていました。撮影NGで動画にはできなかったのですが。

――長年二郎を食べてきて、味覚などの変化はありましたか?

アカボシ:最近は、スープのベースに使われている醤油(カエシ)の調合に何が使われているかわかるようになってきました。カウンターにも置いてあるのでいつも飲むようにしているのですが、店によって味が全然違うんです。出来合いの醤油を使っているお店と、スープを際立たせるために配合を考えているお店と、僕でも調合できそうな醤油で作っているお店がわかるようになってきました。「これはアミノ酸が入っているな」とか。最初は全部ただの醤油だと思っていたのですが、実はいろいろな種類があるんです。