AmazonでZ世代とX世代にリーチするにはそれぞれ異なる戦略が必要



Amazonは7月18日、強く期待されたAmazonプライムデー(7月16・17日)の売上について、過去最高の結果を発表した。同社によると、35のカテゴリーで2億点以上の品目が売れ、10年間にわたるプライムデーの歴史でも最大のイベントになった。

美容品業界は、それぞれの年齢層でどのような買い物行動をとるか、そして各グループが買い求めようとする商品を評価するとき、何をもっとも重視するかについて新たな知見を活用し、Amazon戦略を進化させ続けている。

今年を通して、トゥーフェイスド(Too Faced)、クリニーク(Clinique)、キールズ(Kiehl’s)、女優スカーレット・ヨハンソンのジ・アウトセット(The Outset)、コーパス(Corpus)のボディケアとスキンケアのブランドであるペンドレル(Pendrell)など、Amazonに参入する美容品ブランドが増えるにつれ、成長中のマーケットプレイスの小売業者において消費者の行動がどのように変化していくかを、ブランドがますます熟知していくことが要求されるようになる。金融機関グループのモルガン・スタンレー(Morgan Stanley)のレポートによると、Amazonは2025年までに大手小売ウォルマートを追い抜き、市場シェアの14.5%を占める国内トップの美容小売業者になるという。

「驚くべきことに、世代間に見られた最大の相違点は、何を買うかではなく、どのように買うのかだ」と、eコマースおよびマーケティングエージェンシーのフロントロウ(Front Row)でインサイト担当ディレクターを務めるエミリー・サフィアン・デマーズ氏は米グロッシーに語った。「Amazonの調査で見られたもっとも大きな相違は、購入までの経路だ」。

デマーズ氏とそのチームは、若い買い物客は、ソーシャルメディアで商品を発見することが多いものの、商品の購入については、ソーシャルアプリを使ったり、外部の小売業者へのリンクをたどるのではなく、Amazonで買い求めるよう動機づけされる傾向が強くなっていることを発見した。フロントロウによると、過去6カ月にスキンケアを買い求めた13歳から18歳までの買い物客の半数は、Amazonで購入している。

Amazonでレビューを見るZ世代、検索をするX世代



この行動は、Amazonへのアクセスと結びついているようだ。フロントロウによると、スキンケアを買い求める13歳から18歳までの買い物客の43%はAmazonのアカウントを保有しており、18歳ではこの割合が69%に跳ね上がる。また、13歳から16歳まででスキンケアを買い求める買い物客の3分の1は、親のアカウントを使用できる。

「若い消費者は、これらの異なるプラットフォームのそれぞれで、ブランドのことをそれぞれ別に考えているわけではないため、一貫したブランド体験を持つことが重要だ」とデマーズ氏は米グロッシーに語った。また、若い消費者はAmazonの商品ページのレビューや、ソーシャルメディアで見たお勧め商品に動かされるのに対して、年上の世代の消費者はAmazonを検索エンジンのように使用している。たとえばZ世代の買い物客は、自分たちが何を欲しいのかを正確に知ったうえでAmazonを使用するのに対し、X世代の消費者はまずAmazonで商品カテゴリーやブランドを検索する。

「若い世代は商品をチャネルとは別の場所で見つけ、それを買うためAmazonを訪れるのに対して、年上の世代はAmazonで商品を発見する傾向が強い。」とデマーズ氏は述べる。「これは、Amazonやほかの場所で美容品を買い求めるときの、各世代の考え方を反映している。年上の世代は1つの場所でワンストップショッピングを好む傾向がある」と、同氏は述べている。

これは、年上の世代がデジタルショッピングに徐々に移行する全体的な増加と対になっている。たとえば、市場調査企業のサカーナ(Circana)が2024年5月までの12カ月間に収集したデータによると、55歳以上の消費者は、従来型の実店舗小売からシフトし、オンラインのみでの美容品の購入が前年比で増加した唯一の世代だった。

一方で、プラットフォーム間を渡り歩く可能性が高い若い世代はサードパーティーによる検証を求めている。たとえば、スキンケアを買い求めるティーン層の49%は、購入の決定においてソーシャルメディアを参考にすると回答したと、デマーズ氏は米グロッシーに語った。

根強い実店舗販売



多くのブランドが消費者にリーチしようと画策するなか、Amazonの広告は魅力的な選択肢となっている。パフォーマンス市場調査企業のティヌイティ(Tinuiti)によると、2024年のAmazonプライムデーにおいて、同社のクライアントはAmazonのDSP(デマンドサイドプラットフォーム)を利用したディスプレイ広告やビデオ広告に対する広告費を2023年と比較して200%増加させたという。同社のシニアイノベーションおよび成長ディレクターを務めるジョー・オコナー氏は、この増加傾向の一因として、Amazoの検索広告であるスポンサード広告のコスト上昇、つまり、オンラインでの顧客獲得コストの上昇を挙げている。その結果として、Amazonでのリーチを広げるため、自社のマーケティングファネルを上に移動させるブランドが増えてきた。

これは7月のプライムデーにおける競争にも結びついている。消費者インサイトおよびデータ企業のヌメレーター(Numerator)によると、プライムデーの買い物客の半数以上は、購入する前にほかの小売業者と価格を比較していた。ターゲット(Target)、ウォルマート、ダームストア(Dermstore)などの小売業者はすべて、2日間のAmazonプライムデーのセールに合わせてプロモーションを行った。

サカーナによると、実店舗での美容品ショッピングから移行する傾向があるにもかかわらず、美容品の小売でもっとも多く使用されるのは、依然として実店舗だ。同社によると、美容品の買い物客のうちオンラインでのみ美容品を購入するのはわずか25%弱にすぎない。

[原文:Beauty & Wellness Briefing: How age impacts shopping behaviors on Amazon]

LEXY LEBSACK(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)