少女への性的暴行で服役→参戦の蘭選手に止まなかった“野次” 16強敗退後に相棒が心境告白「参加できてよかった」【パリ五輪】

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渦中のファン・デベルデ(左)とパリ五輪に臨んだイマーズ(右)。(C)Getty Images

 最後まで大会参加に対する反発が収まることはなかった。

 現地時間8月4日に行われたパリ五輪・男子ビーチバレーのラウンド・オブ16が行われ、オランダのスティーブン・ファン・デベルデとマシュー・イマーズ組が、ブラジルのエバンドロ・ゴンサウベスとアルトゥール・ジエゴ=マリアノランシ組と対戦。セットカウント0-2で敗れた。

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 この一戦で小さくない注目を集めたのは、オランダのファン・デベルデだ。彼は19歳だった2014年にFacebookを通じて知り合った当時12歳の英国人少女に対して性的暴行に及び、逮捕。16年に英国の裁判所から禁固4年の実刑判決を受けていた。

 その後にオランダへ身柄を引き渡され、わずか1年間の服役を経験したファン・デベルデは、釈放後に競技復帰。18年からは国際大会にも出場していた。このパリ五輪の参加に向けては、オランダ・オリンピック委員会から「選手村への入村禁止」と「メディアとの接触禁止」の措置を実施。対応策が設けられたが、やはり批判の声が噴出した。

 開幕から会場で野次を浴びせられたファン・デベルデは、このブラジル・ペアとの対戦でもサーブを担うたびにブーイングを受け、世論の“逆風”に晒され続けた。

 大会期間中に容赦ないブーイングを浴び続けたファン・デベルデ。彼の犯した罪を考えれば、必然の反応なのだが、ペアを組む相棒の心境はやはり複雑だ。

 ラウンド・オブ16敗退後に英紙『Daily Mail』などの取材に応じたイマーズは「感情はジェットコースターのようだった。僕はそう思っている」と告白。批判が相次いだファン・デベルデと交わした会話を明かした。

「彼のために、代わって言わせてもらうと、僕らは負けた後、がっかりしていたよ。でも、これだけのプレッシャーを浴びながら、どれだけハードに戦ったかを話し合った。僕らはどんな時も一緒にいた。フィールドの外でも一緒に泣いた。そして『今、この瞬間を楽しもう』と言って挑戦した。僕は大会に参加できてよかったと思う」

 最後に「僕はこれからも彼と歩み続けるよ」と語ったイマーズ。そんな相棒の存在は、更生を図るファン・デベルデにとってかけがえのないものになりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]