1枚絵、リリックが淡々と表示されるMVが際立つ1曲『200%』シンプルさの中に潜む可不の歌声に「めっちゃ好き」「無性に聴きたくなる」の声

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 今回紹介するボカロ曲は可ラッカによる「200%」だ。

文/村上麗奈

可ラッカ

 バッキングとリズム楽器を中心にした楽器隊の音色に、可不による歌声が乗る。これまでの可ラッカ作品に通ずる、シンプルながら求心力のある1曲だ。
 シンプルなコード進行で展開する楽器隊のほとんどは、アタック感を削ぎ落したマイルドな音色。それらの音色は、楽曲に漂う心地良さを作り上げる効果がある一方、必要最低限まで楽器の存在感を消しているようにも感じられる。

 更に、「200%」は2コーラスある楽曲だが、その作りは非常に簡素と言える。短いイントロからAメロ、Bメロ、サビ。間髪入れずに再びAメロ、Bメロ、サビが続き、すぐさまラスサビへ。ラスサビには少々のメロディのアレンジもあるが、1コーラスと2コーラスの間にはほとんどアレンジはない。サビでの盛り上がりを除けば楽曲全体の起伏も少なく、非常に聴きやすい楽曲である。単色の背景に線画のニュアンスが残る1枚絵、リリックが淡々と表示されるMVや、先述した楽器の存在感も含め、楽曲全体が非常に質素な作りになっているのである。

 そんなシンプルな作りの「200%」だが、それでいて聴きごたえもある。
 時折楽曲に彩りを添えるコーラスやパーカッションは、決して派手ではないながら、しっかりと耳に飛び込んでくる。おそらく、それぞれの音色のバランスにメリハリがあるからだろう。

 また、このような楽曲の作りだからこそ、可不の歌声と歌詞に注目が向く。
 可不のアンニュイな歌声、ブレスに加え、〈ぬるいスプライト〉〈あなたは三冠王〉といった、相関性のない歌詞での脚韻。歌詞のゆるやかな統一感が癖になる。

 サビでは、〈間違ってもいいよ 別に死にやしない〉と、どこか達観した歌詞がある一方で、〈心の隅まで愛が欲しいよ〉と愛に飢えている様子も歌っている。すがるような寂しさと突き放すような達観が両立している歌詞に、共感を覚えるリスナーも多いだろう。

 「200%」は5月28日に配信開始されたアルバム『カンガルーファイル』にも収録されている。可ラッカの魅力とも言える、華美ではないながら耳に残る楽曲たちを楽しんでみてはいかがだろうか。

■ 楽曲配信情報

「200%」 アルバム「カンガルーファイル」収録曲として配信中 DL先はこちら

■ infomation

「The VOCALOID Collection」 公式サイト

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