世界初挑戦へ意気込んだ桑原拓【写真:浜田洋平】

写真拡大

桑原拓が世界初挑戦へ会見

 ボクシングのWBA世界フライ級3位・桑原拓(大橋)が11日、5月6日に東京Dで行われる同級王者・ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)への世界初挑戦に向け、神奈川・横浜市内の所属ジムで会見した。世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)と元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)の歴史的一戦の興行に参戦。3年前にプロ唯一の黒星を喫した王者へのリベンジを誓った。戦績は28歳の阿久井が19勝(11KO)2敗1分け、28歳の桑原が13勝(8KO)1敗。

 王者の強さは今も脳裏にある。2021年7月、桑原は日本フライ級王者だった阿久井に10回TKO負け。初回と最終回にダウンを喫した。「当時はアマチュアの延長。プロボクシングは甘くないぞ、と教えられた。厳しさ、8オンスの怖さを知った」。圧力をかけてくるパンチャーの顔は今も忘れられない。「鋭い目つきは印象的。獣のよう」。スピードスターの異名を持つが、パワー不足を痛感した。

 以降は同門の元K-1世界王者・武居由樹とともにキックボクシングジム「POWER OF DREAM」に週1、2回通った。「原始的。時代に逆行した内容」とタイヤやハンマーを使った筋トレに挑戦。陣営の大橋秀行会長も「みんなが忘れている根性がつく」と驚くほど前時代的なものだった。1年で腕が二回り太くなった桑原は「生物的に強くなれる」と食らいつき、再起後は5連勝した。

 5歳から空手を始めた。小学生の全国大会がない流派だが、最も大きな近畿大会で6年間優勝。「父親に無理やり連れていかれて」と4年時の終わりからボクシングも並行し、中学から専念した。魔裟斗に憧れ「K-1王者になる」と描いた夢は、次第にボクサーの世界王者に。実現の舞台は、まだ行ったことすらない東京Dだ。

 唯一の敗北で遠回りしたが、パワーが加わったスピードスター。「初挑戦の時期は予定通りではない。けど、予定通りだったら世界を獲れていない。これが最善の道。負けた記憶は絶対に消えない。人生とスタイルそのものを変えてくれた。負けて強くなれることを体現したい」。王者への雪辱。世界戦4試合の先陣を切り、歴史的興行をド派手に飾る。

○…興行はAmazon プライム・ビデオにて「Prime Video presents Live Boxing」の第8弾として独占生配信される。井上と桑原のほか、同門のWBO世界バンタム級10位・武居由樹が王者ジェイソン・マロニー(オーストラリア)に世界初挑戦。尚弥の弟のWBA世界同級王者・井上拓真(大橋)が同級1位・石田匠(井岡)との2度目の防衛戦に臨む。同じ興行で世界戦4試合は国内最多3試合を超える史上最大規模となる。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)