記者会見する元共産党員の松竹伸幸氏。24年1月に行われる党大会で除名処分について再審査を求める考えだ

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共産党で党首公選を行うように求める書籍を出版したことなどが原因で、規約上最も重い「除名」の処分を受けた松竹伸幸氏(68)が2023年11月13日に都内で記者会見し、24年1月に開かれる党大会で処分の再審査を求める書類を送ったことを明らかにした。

共産党側が書類を受け取ったことはレターパックの追跡機能で確認したものの、党からは特段の反応もなく、正式な形で「受理」されたかは明らかではないとしている。再審査が行われなかったり、再審査で除名が取り消されなかったりする可能性もあるとして、その場合は法廷闘争も辞さない構えだ。

「中央委員会の最後の時間帯にでも、却下するみたいなことがありうるのでは」

松竹氏は23年1月19日に「シン・日本共産党宣言──ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由」(文春新書)を出版し、わずか2週間後の2月6日に除名処分を受けた。

規約第55条には

「被除名者が処分に不服な場合は、中央委員会および党大会に再審査をもとめることができる」

とあり、松竹氏はこの条文に基づいて再審査を求めている。松竹氏は規約が禁じた「分派活動」を行ったなどとして除名された。松竹氏が11月1日に送った書類は、松竹氏が綱領や規約に違反した事実はないと主張する内容だ。党大会の日程は24年1月15〜18日の4日間。共産党は11月13日から14日にかけて、党大会で審議する議案について議論するための第10回中央委員会総会を開いており、松竹氏は

「もしかしたら、明日(11月14日)の中央委員会の最後の時間帯にでも、却下するみたいなことがありうるのではないかと心配している」

と危惧している。仮に再審査が却下された場合は、法廷闘争も辞さない考えだ。

「私が復党する道は、党との関係では途絶えることになるので、別の手段、それは裁判も含めてということだが、除名が間違いだということを法的な手段で決着をつけるということも、自分の頭の中にはある」

若手登用進めず衆院選に突入すれば「かなり大きなダメージ」

内閣支持率は低迷を続けるが、それが必ずしも共産党の支持につながっているわけではない。例えば11月12日に投開票された福島県議選(定数58)では、県議会で第1党の自民、第2党の立憲民主、第3党の共産のいずれも議席を減らしている。共産は議席を5から4に減らした。松竹氏は、

「その県議選の結果が大体、『今、国政選挙をやれば、そうなるんだろうな』というのを表している」

として、次期総選挙では共産党も議席を減らすとみている。

松竹氏をめぐる問題とは別に「やはり高齢者が中心の候補者みたいなのが受け入れられなくなっているという面」があり、若手の登用が進まないまま選挙戦に突入すれば「かなり大きなダメージはあるだろうな、という気がする」と述べた。

再審査が進めば共産党への逆風が弱まるとの見方には、「本当にそれは、私はそう思っているんですよね」と応じた。11月9日に現役学生に招かれてトークイベントに出演したことを紹介し、自らが招かれた理由を

「(共産党が)私のような立場を受け入れるというふうにならないとだめだという思いがあるから」

だとみている。松竹氏はイベントの様子を近くユーチューブで公開予定だが、学生側の顔も名前も出せないことが「一番残念なこと」だ。除名の撤回で、この状況を変えることができるとしている。

「共産党を応援したいという学生からも『自分が名前や顔を出したら、批判を受けて共産党との関係がまずくなる』と思われているというのは、もうこのままじゃうまくいかないなという...。そこは打開をしなければならないし、打開するとすれば、除名を撤回するという方向は一つの大きな選択肢だと思っている」

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)