マサチューセッツ工科大学(MIT)がレーザーを用いた非接触式の超音波(エコー)検査システムの開発に成功しました。

Full noncontact laser ultrasound: first human data | Light: Science & Applications

https://www.nature.com/articles/s41377-019-0229-8

Researchers produce first laser ultrasound images of humans | MIT News

http://news.mit.edu/2019/first-laser-ultrasound-images-humans-1219

人間の体内を画像化する技術の中でも、エコー検査は、X線(レントゲン)撮影やCTスキャンが照射するような有害な放射線を用いず、また、ポジトロン断層法(PET)やMRI検査で必要とされる大型で高価な機械を必要としません。その反面、エコー検査は探触子(プローブ)を皮膚に当てる必要があったり、生成される画像にばらつきがあったりといった問題点があります。

MITの研究チームは、1550ナノメートルの波長のレーザーが人間の皮膚に当たると音波を生成し、その音波がエコー検査に有用であることを発見。1番目のレーザーで体内を測定する音波を生成し、その音波を2番目のレーザーによる音波で検出するという手法を開発しました。実際にレーザーを腕に照射している様子が以下。



以下の画像の左側が、新たに開発されたレーザーを用いた新型エコー検査で生成された画像で、右側は比較用の従来式のエコー検査による画像。



発表された段階では、レーザーを用いた新型エコー検査によって生成された画像は、従来のエコー検査に解像度の点で劣るとのこと。しかし、研究チームは「改良が可能」と述べ、「初期目標を突破した」とコメントしています。

このレーザーを用いた新型エコー検査が有望視されているのは、物理的な接触が不要という点。従来のエコー検査はプローブを皮膚に接触させる必要があり、火傷を負った患者や手術直後の患者、乳児などには使えないという欠陥がありました。今回開発されたレーザーによる新型エコー検査は全ての人を対象にエコー検査が可能です。

また、研究チームは開発された新型エコー検査の検査プロセスを自動化することによって、ポータブル型のエコー検査デバイスの開発も視野に入れています。研究チームを主導したブライアン・アンソニー氏は、「朝起きたときに体内のイメージ画像を自動で生成して、甲状腺や動脈の状態を記録することができるという未来が考えられます」とコメントしました。