橋本拳人(撮影:森雅史/日本蹴球合同会社)

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キルギスから帰国した日本代表の中で、練習後にスピードを上げながら黙々と走り込みをする選手がいた。今年3月、追加招集で日本代表に加わるとすぐに初出場を果たし、その後はコンスタントに呼ばれるようになった橋本拳人だった。

橋本は報道陣から走り込んでいたのはなぜかと質問され、苦笑いしながら明かした。

「キルギスで体調を崩してコンディションを上げられなかったので、昨日(16日)にちょっと走りました。胃が痛かったんです。下痢じゃないのですが、胃炎なのか、初めてのことだったので……」。橋本はそこまで神妙に語ると、「ストレスですかね?」と笑いながら続けて記者たちも笑顔にした。

ただ、痛みは「1日でだいぶよくなりました」と言うものの「何も1日食べられない、一睡も出来ないくらい痛かった」という。そして「キルギスまで来て何してるんだと、自分に対して情けない思いがあって」と、感じていたそうだ。

それでもすぐに気持ちを切り替えられるのが橋本のいいところでもある。「そのぶんベネズエラ戦で晴らせばいいですね」と前向きになった。明るく考えられるのには理由があった。

「ちょっと体調不良になりましたが、リーグでのパフォーマンスとか体調はいい状態を保っているので、そこまで悲観する必要はないと思っています。調子を落としているというのではないのですが、出場するかどうかは監督が決めることなので、焦りはないです」

「Jリーグで首位で戦っているという自信はありますし、そのプライドをもってやっているので、誰かに負けないように、というよりも自分を表現したいと思っています」

橋本が体調を戻したのは、日本代表にとってもFC東京に取ってもいいニュースだろう。もっとも今回は、柴崎岳、山口蛍、大島僚太、井手口陽介と同ポジションにライバルがひしめく。

この中で体調を崩したことを感じさせないで個性を発揮できれば、現在ワールドカップ予選4試合のうち2試合に出場している橋本の出場機会は今後もっと増えるはずだ。

【取材・文:森雅史/日本蹴球合同会社】