「ホームランが一番うれしかった」大島・當田

サイクル安打を達成した當田 陽太郎(大島)

 大島は2回、8番・國分 祐希(3年)のライト前タイムリーで2点を先制。更に9番・新元 一基(3年)、1番・武田 健志(3年)の連続二塁打で2点を加え、4点を先取。3回には6番・當田 陽太郎(3年)の2ランで加点し、序盤で主導権を握った。

 志布志は4回、暴投と2番・又木 颯大(3年)のレフト前タイムリーで2点を返す。大島は8回には1番・武田の右中間三塁打と犠飛で2点を加えた。その裏1点を返され、コールドはできなかったが、9回に6安打を集中し、5点をダメ押した。6番・當田がセンターオーバー三塁打を放ち、サイクルヒットを達成した。

「(サイクルヒットは)意識せず、いつも通りのスイングをすることを心掛けた」。當田は九回の打席にそう考えていた。

「暴走になってもいいから、抜けたら三塁まで走れ!」。1球目を空振りしてから、有馬 壱成(2年)が渡邉 恵尋監督の伝令を伝える。カウント2ボール2ストライクから強振した打球は、追いかける右翼手と中堅手の頭上を越えた。「足は遅いけど、思い切って走った」(當田)。サイクルで最も難しいとされる三塁打で、大記録を完成させた。

 初球から果敢に打っていく積極打法が功を奏した。最も甘いボールがくる確率が高いとされる「ファーストストライクを見逃すと悔しい」のが心情。1打席目のライトオーバー二塁打、2打席目の2ラン、3打席目のセンター前ヒット、いずれもファーストストライクを迷わずフルスイングで打てた。

 その中でもやはり「ホームランが一番うれしかった」。初球の内角低めのカーブを大きな放物線で右翼席に運んだ。秋までは背番号13で左の代打要員だったが、冬場の練習で徹底して振り込んだ努力が認められ、背番号3のレギュラーをつかんだ。今大会は3試合で11打数8安打と好調を続けている。「エースの渡(秀太・3年)を終盤まで温存して勝つことができたし、これからまだまだ上げていけると思う」と静かに闘志を燃やしていた。

(文=政 純一郎)

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