左から 澤村 拓一(読売ジャイアンツ)、佐野日大時代の田嶋 大樹

 栃木の名門といえば、作新学院を思い浮かべる方が多いだろう。だが作新学院の好敵手として注目されるのが佐野日大だ。栃木県佐野市にある佐野日大野球部のグラウンドは、学校から少し離れた場所にあるが、スタンドも設置され、公式戦もできるのではないかと思わせる程の設備があり、さらに専用の雨天練習場、また陸上のトラックも隣接されている。環境面において全国トップクラスといってもよく、その環境の良さに憧れて門を叩く選手たちも多い。今回は佐野日大のつながりを紹介していきたい。

全国10回出場のうち6回は初戦突破を果たすなど実績は十分

 佐野日大は1964年に開校。甲子園に出場したのは1989年の夏(平成元年)。初戦で近大福山と対戦した佐野日大は、麦倉 洋一投手(元阪神タイガース)が本塁打を放ち、さらに完封勝ちを収め、大会初勝利を記録した。そして1997年夏は2回戦で宮崎日大を2対1で下し、3回戦で大分商を4対1で破り、ベスト8進出を決めている。これまでに春夏合わせて10回甲子園に出場し、初戦突破は6回。また1997年夏にはベスト8、2014年春ではベスト4と全国大会の成績はなかなか良い実績を挙げている。初出場を果たしたのが平成元年なので、平成に入ってから強くなったといえるだろう。

 近年の甲子園での戦いを振り返ると、田嶋 大樹投手(現・JR東日本<インタビュー>)を擁して出場した2014年選抜が思い浮かぶ方も多いだろう。初戦で鎮西に勝利し、2回戦では智辯学園を破り、さらに準々決勝では明徳義塾を破るなど、西日本の強豪を次々と破った戦いは見事だった。今年は超俊足の五十幡 亮汰(インタビュー)を中心に2010年以来の夏の甲子園出場を目指す。

 同校のOBでは、巨人のクローザーに上り詰めた澤村 拓一投手が有名。また田嶋投手は2017年度のドラフトの目玉に挙がる選手と期待されている。今後澤村選手、田嶋選手に続く逸材が現れるか注目をしていきたい。

[page_break:近年の卒業生]近年の卒業生

 佐野日大の選手を見ると技量は高いが、驚くことにあまり野球を続ける選手がいないという。田嶋選手を取材した時、「うちはそんなに続ける選手がいないんですよね」と話していたことを覚えている。だが田嶋選手の代を見ると日本大に進んだ長沢 吉貴選手が活躍を見せている。全国で実績を残すチームとなれば、大学で活躍できる確率も高まっていく。今後もそんな選手が現れることに期待したい。

■2012年卒・中村 雅志(作新学院大卒)・齋藤 祐太(作新学院大卒)

■2013年卒・弓削 隼人(日本大)

■2014年卒・榎本 啓士郎(日本大)

■2015年卒・田嶋 大樹(JR東日本)・吉田 叡生(中央大)・稲葉 恒成(日本大)・長沢 吉貴(日本大)

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