日本プロ野球に復帰する黒田博樹と松坂大輔【写真:田口有史】

「2人がキャリアの閉幕に日本に戻ることを決断したのは興味深い」

 同じタイミングでメジャーから日本プロ野球に復帰することになった黒田博樹投手と松坂大輔投手について、米地元紙が記事を掲載。その評価は明暗を分ける結果となっている。ボストン・グローブ紙が、運命の決断を下した2人の日本人エースについて報じている。

「ヒロキ・クロダとダイスケ・マツザカの2人がキャリアの閉幕に日本に戻ることを決断したのは興味深い。クロダは1年契約を望むヤンキースか、パドレス、あるいは別の球団で、高給を手にメジャーでキャリアを続けることは可能だった。マツザカは話が別で、アメリカでの彼の時間は完全に終わっていた。クロダはまだ成功可能だったが、彼はキャリアをスタートさせたところでの引退を望んだ」

 同紙の名物コラムニスト、ニック・カファルド氏は両投手の日本復帰をこう伝えている。

 ヤンキースからフリーエージェント(FA)となった黒田については、大型補強を続けるパドレスから1800万ドル(約21億7000万円)の1年契約を提示されていたことをサンディエゴの地元紙ユニオン・トリビューンが報じていた。

 来月に40歳となるベテラン右腕は昨季、故障者続出のヤンキースで1人だけ先発ローテーションを守り抜き、11勝9敗、防御率3.71と安定した成績を残した。ヤンキースから手にしていた年俸1600万ドル(約19億2000万円)よりも200万ドル(約2億4000万円)も高い条件を提示されていたように、不惑を迎えてもメジャーで活躍できると分析されていた。だが、黒田は推定年俸4億円の古巣・広島からのオファーを選び、その男気は大きな話題となった。

地元紙の評価では明暗を分けた2人、日本での結果はどう出るか

 一方、松坂は2006年、西武からボストン・グローブ紙の地元ボストンに本拠を置くレッドソックスに5111万1111ドル11セント(当時のレートで約60億円)の落札額で移籍。2007年のワールドシリーズ優勝に貢献し、2008年には18勝3敗、防御率2.90、154奪三振と大活躍したが、2011年に右ひじの手術を受けるなど不運にも見舞われ、その後、成績を落としていった。

 昨季、メッツではマイナーで開幕を迎えたが、4月16日にメジャー昇格。先発、中継ぎ、クローザーの3役をこなし、3勝3敗3ホールド1セーブ、78奪三振、50四球、防御率3.89という成績を収めた。

 オフにFAとなると、先発にこだわり、日本球界復帰を決断。12月4日にソフトバンク入団が発表された。ただ、カファルド氏は「Dice-K」の愛称でかつてボストンを賑わせた怪物が、今季も米国に残留するという選択をすれば、メジャー球団からのオファーはなかったのではという厳しい分析をしている。

 地元紙の評価では明暗を分けた2人だが、メジャーでの経験を糧に、日本ではどんなピッチングを見せてくれるのだろうか。